柳亭こみち「女性落語家増加作戦」
月刊誌『図書』8月号に、柳亭こみち「女性落語家増加作戦」の記事が掲載されている。
柳亭こみちの略歴は以下の通り。
社会人の経験を経て
2003(平成15)年 柳亭燕路に入門 前座名「こみち」
2006(平成18)年11月 二ツ目昇進
2017(平成29)年09月21日 真打昇進
高座名は大師匠小三治の「小」と師匠燕路の「路」を合わせ「こみち」から
漫才師の宮田昇と結婚し現在2児の母
2007年に現在の蝶花楼桃花が前座で出た時に、上手い女流が現れたと思いつつ、だけど「落語家は女に向かない職業」と書いて、本人からコメントを頂いた。
今日、女流落語家の活躍を見た時、いささか忸怩たる思い。
柳亭こみちが記事の中で、落語協会では約300人の噺家がいるが女性は20人と圧倒的少数。
女性が少ない理由として次の点をあげている。
1修行時代が大変
2結婚したら辞めざるを得ない
3落語という芸能が女性向きではない
1は、男女共通なので問題ない。
2は、かつて女性落語家が生まれては消えていったのは、結婚すると辞めていったからだ。こみちが結婚したころは、周囲から疑問の声があったそうだが、今はそんな空気はない。
この辺りは一般社会と同様の傾向だ。
問題は3で、女性が男性の役をどう演じるかだ。
こみちがあげているポイントは、技術と姿・体。
声は、男性演者以上に地声と、登場人物らしい声を意識的に作り出すこと。これは稽古によって訓練するしかない。
高座姿は男性以上に気を使う。着物、髪型、身体の使い方だ。例えば手を動かす際に、女性は指が細いので女性っぽく見えてしまう。
やはり、噺の中に女性が出てくるものの方が演じやすい。そういう演目を選んで演じたい。
落語に出て来る女性パターンは、妻・母、妾、花魁・芸者、幽霊。その他は端役ばかり。
その為に、古典落語を女性が主人公になるよう改変してゆくことを試みている。
例えば「らくだの女」「おきんの試し酒」「そばの清子」などで、「船徳」なら乗客を女性にするとか。
その場合、大事にしなければならないのは、「古典落語の空気」だ。
これからも女性が演じやすい演目、女性がやってこそ説得力がある噺を作っていきたいと、こみちは結んでいる。
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こみちは知的な構成力を持っています。
いつぞや聴いた女性の立場からの「明烏」(白鳥作)は楽しいものでした。
>ぽっぽからのコメント
貴重なものですねぇ、今や桃花として看板を張ります。
投稿: 福 | 2024/08/22 06:32
福さん
ぽっぽからのコメントは本人の出演の案内でした。当時からスジが良かったです。
投稿: home-9 | 2024/08/22 18:21