桂小すみ「プッチーニが聴いた『越後獅子』」
桂小すみの略歴
音楽科の教員を経て
2003年、落語芸術協会所属の寄席のお囃子となる。
2017年、三代目桂小文治門下に入門
2019年、寄席色物「音曲」に転身
2024年、第74回芸術選奨新人賞受賞
高座名の桂小すみは師匠の玉川スミに由来
長唄の「越後獅子」は、長唄や舞踊に縁がない人も、メロディを聴けばあれがそうかと思う様なポピュラーな曲だ。
落語「うどん屋」で、酔っ払いがうどん屋に絡む場面で、越後獅子の「こん小松の蔭で 松の葉の様にこん細やかに」の歌詞が出てくる。
「百年目」では番頭が花見で酔って、越後獅子の「何たら愚痴なえ 牡丹は持たねど 越後の獅子は」に合わせて踊る。
寄席の音曲では、越後獅子の替え歌として例えば「種尽くし」という曲が唄われている。
落語家の出囃子や上方落語のハメモノにも使われている。
『図書』8月号での音曲師・桂小すみによると、上方唄に「五段返し」という曲があるが、そのメロディは越後獅子に良く似てる。
五段返しが先に作られ、後から越後獅子がそのメロディをとり入れた可能性もあるとのこと。
興味深いのは、プッチーニ「蝶々夫人」に越後獅子が引用されていることで、曲は五段返しに近いそうだ。
邦楽を五線譜にすることは行われておらず、誰かが五線譜に直してプッチーニに渡したことになる。
桂小すみが調べたところ、当時ウイーンに留学していた幸田延(幸田露伴の妹)が越後獅子の曲を五線譜にしたものを、徳川頼貞を通してプッチーニに渡した模様。
当時の世界で、音楽を通して東西が交流していたことになる。
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