経済・政治・国際

2017/08/08

「丁寧」より「正直」な説明を

安倍首相は三語族だ。
「しっかり(と)」「緊張感を持って」「丁寧に(な)」の三語で、国会答弁などではこの三語を除くと、ほとんど意味のないことを語っている場合が多い。
特に近ごろは、「しっかりと緊張感を持って丁寧に説明してゆきたい」を連発している感がある。
各新大臣の会見でも、このフレーズを頻発していた。
しかし、大事なことは「正直に語る」ことであり、事実を隠蔽したり虚偽の答弁を「丁寧に」して貰っても意味がない。
多少ぞんざいでもいいから、何事も隠さず「正直な説明」こそ、いま求められている。

あの文書好きな官公庁が、大事な議事録や会議のメモを簡単に破棄することなど、あり得ない。
民間企業でも、相手の交渉については議事録やメモを残すことは常識だ。
契約交渉の場合、契約書の解釈について齟齬が生じることがあり、契約期間終了時までメモを残す。相手との話し合いがこじれた場合には、メモは解決のための有効な手段となるからだ。
まして官庁ならなおさらである。
いつまでも隠しておかないで、さっさと出しなさい。

「日本ファーストの会」とやらが設立されたらしい。
都議会選で躍進した味をしめて、いよいよ国政に進出するらしい。
だが、大量に当選者を出した「都民ファーストの会」は、未だ何も実績を残していない。数だけは揃えたが、海の者とも山の者ともつかぬ状況だ。
先日、毎日新聞が全都議を対象にアンケート調査を行ったが、「都民ファーストの会」所属都議は全員が「無回答」だっとと報じられている。どうやら本部の指示らしい。
主張や政策があって政党を結成するのであって、政党を作ってから政策を考えるというのは筋が通らぬ。

かつて泡の様に沢山の新党が生まれたが、大半は消滅するか、自民党など既成政党に呑み込まれてしまった。
その姿は、「日本ファーストの会」の未来を暗示しているかのようだ。

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2017/06/25

豊田真由子議員の暴力に対する河村建夫元官房長官の発言を検証する

3日前の事がらであり、本人が発言を取り消してはいるが、自民党の幹部の発言として看過できない内容を含んでいるので、改めて検証してみたい。
以下は、6月22日付産経com.の記事から引用。

【自民党の河村建夫元官房長官は22日、秘書への暴力行為などが報じられた豊田真由子衆院議員(埼玉4区)について「かわいそうだ。男性の衆院議員なら、あんなのはいっぱいいる。気持ちは分かる」と述べ、擁護した。官邸で記者団に述べた。暴力行為を容認するかのような発言として批判を浴びる可能性がある。
河村氏は、豊田氏の政策秘書だった男性が暴力行為を受けた場面の音声を録音していたとされることについて問題視。「録音して(週刊誌に)持ち込むなんてあり得ない。いくらパワハラがあったとしても、選挙をやる者なら怒る」と語った。】

先ず、河村は真田が「かわいそうだ」と語っている。
人間があることに「かわいそう」と思うのは、辞書によれば次のような場合だ。
「弱い立場にあるものに対して同情を寄せ,その不幸な状況から救ってやりたいと思うさま。」(大辞林)
つまり河村建夫は、弱い立場にいる豊田真由子に同情を寄せ、その不幸を救ってあげたいという心境にあったということだ。

次に、「男性の衆院議員なら、あんなのはいっぱいいる。」と発言している。どうやら河村の周囲の議員(恐らくは党内の同僚議員を指していると思われるが)には、同様の行為を行っている人が沢山いるらしい。
こいいうのを「語るに落ちる」と言うのだ。

「気持ちは分かる」という言い方も、通常は「自分がもし同じ立場だったら、同じ事をしただろう」という場合に使われる。
どうやら、河村自身も前記の「いっぱいいる」の中に含まれているようだ。

最後の「録音して(週刊誌に)持ち込むなんてあり得ない。いくらパワハラがあったとしても、選挙をやる者なら怒る」という発言では、被害者は豊田真由子の方であって、訴えた元秘書の方が加害者だと言わんばかりの発言だ。
河村が言うように、議員の秘書に対する暴力や暴言などといったものはザラであり、通常はそれに耐えるか、あるいは黙って辞めて行くのかも知れない。しかし今回のケースは、被害を受けた側が証拠をもってマスコミに伝え、被害届を出さざるを得ないほど、あまりに酷い内容だったと考えるべきだろう。

問題にすべきは、河村建夫の人権感覚だ。彼は官房長官を務めたほどの自民党幹部である。
こういう人物が、人を人とも思えぬような所業に同情を寄せ、被害者を非難するような感覚の持ち主であることこそが、問題なのだ。
こうした人権を無視し、個人の尊厳を平気で傷つける姿勢こそが、今の自民党の姿勢を示していると思う。

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2017/06/24

【都議選】安倍政権と小池知事の狙いは大阪府議会モデル

都議選が始まった。近ごろの選挙は期日前投票が増えてしまった関係から、公示前までに選挙運動を済ませなくてはいけないらしい。

メディアは、盛んに都議選の争点を「都民ファーストvs.自民党」の戦いとして煽っているが、果してどうだろうか。
私には、それ自体が既に政権の思惑に乗ったものとしか見えない。
小池知事の頭の中にあるのは、恐らく大阪府議会がモデルになってるのではなかろうか。つまり知事が第1党の党首を兼ね、公明党を引き込んで議会の過半数を握る。そうすれば、議会は知事の思うままだ。
併せて、小うるさい野党を少数に追い込むか、出来れば都議会から消滅させる。
これが、小池知事の思い描く見取り図だろう。

では、その大阪都議会はどうなっているだろうか。

大阪府知事 松井一郎(日本維新の会代表、大阪維新の会代表)
<大阪府議会>(2016年7月25日現在)
大阪維新の会 42人
自由民主党・無所属 25人
公明党 15人
日本共産党 3人
民進党 1人
無所属 1人
欠員 2人
------------------------
定数 88人(過半数 45人)

この形が、知事は松井→小池
第1党は 大阪維新→都民ファースト
に変われば、小池知事にとり都議会選挙後の最も望ましい構成になる。
それは政権の思惑とも合致する。
これで国政での野党共闘がご破算にでもなれば、もう願ったり叶ったりだ。

将来、都民ファーストが国政に進出したらどうなるか。
これも日本維新という立派なお手本がある。自民党批判の受け皿になりながら、国会では政権与党と歩調を合わせる。
特に安倍首相が目標としている憲法改正では、いずれも改憲勢力となって推進側に立つことになるだろう。
そりゃ、都議会や府議会では自民党と摩擦があるだろうが、そんなもの政権からすれば所詮はコップの中の嵐。
せいぜい、安倍首相の掌の上で踊って貰えばいい。

メディアの「都民ファーストvs.自民党の対決」なんて宣伝に惑わされず、投票には冷静な判断が必要だろう。

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2017/06/19

小池知事の「築地ブランド」というマヤカシ

以下、6月18日付朝日新聞digitalより引用。

【築地市場(東京都中央区)の移転問題について、小池百合子・東京都知事が同市場を豊洲市場(同江東区)に移転する方針を固め、今週中に「基本方針」を示すことが分かった。移転後も「築地」のブランド力を生かす意向で、跡地活用策などの検討を進める。
小池氏は17日、築地市場業者との会合で「これまで育ててきたこの(築地)ブランドをどう守るか」「(築地市場の)歴史をあっという間に消し去ることなどできない」などと発言。将来にわたり、何らかの形で「築地ブランド」を維持したい考えを示した。
都は豊洲市場運営費の赤字を年92億円と試算しており、小池氏は将来の収支の安定性を重視。小池氏が設けた都の「市場のあり方戦略本部」は今月、移転後に築地の跡地を民間などに貸す案、移転後に跡地を売却する案、築地での再整備案のうち、跡地を貸す案が収支見通しで優れているとする検討結果を小池氏に示した。同本部は跡地を「食文化の発信拠点」とする案なども示しており、小池氏はこれらを参考に、築地ブランドを生かす具体策や収支安定化策を検討する。
小池氏は昨年8月の知事就任直後、豊洲市場の安全性の確認などを理由に、同11月の予定だった移転の延期を表明。豊洲市場では今年1月以降、地下水から環境基準値を上回る濃度で有害物質が検出されている。豊洲市場の安全性をどう確保するかは大きな課題で、同本部は今月、追加の土壌などの汚染対策を提案。小池氏は今後、有害物質の検出状況などの情報を公開しつつ、汚染対策を進め、都民らの理解を得ていきたい考えだ。】

小池都知事が就任以来、見直しをかかげてきた築地市場の移転問題は、結局振り出しに戻ってしまった。
東京オリンピックの費用見直しを含めれば、全ては元の木阿弥だ。
取って付けたような「築地ブランド」の維持は、浅知恵に見えてしまう。
「築地市場あっての築地ブランド」なのであって、市場が移転してゆけばブランドも移転する。
築地残留と豊洲移転を足して2で割ったような政策だが、言葉のマジックにしか見えない。
豊洲の赤字を築地の跡地の貸し出し料で埋めるという試算も、今まで散々体験してきた「捕らぬ狸の」ナントヤラ。

小池百合子が都知事に就任して約10ヶ月経つが、目に付くのはパフォーマンスとメディア操作だ。元々メディア出身だけにこの分野だけは長けている。しかし、それ以外に何か実績があっただろうか、どうも思い出せない。
唯一、都民ファーストの会という政治団体を立ち上げ、自らが代表の座についたことぐらいか。
しかし、直接選挙で選ばれた行政のトップである知事が、自らがコントロールできる政党を作るという行為は、果して民主主義のルールに適合するものだろうか。
都民Fの立ち位置も不明確だ。都議会自民党と戦うといいながら、小池と安倍首相との関係は良好だ。
仮に都議会選挙で自民党として後退しても都民Fが伸びてくれれば、安倍政権としては痛くも痒くもないだろう。
ちょうど、大阪における維新の会と同様だ。

2代続いてお粗末な都知事が続いたため、その反動からか小池人気は高いが、その行き先は視界不良好だ。

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2017/04/09

「小池新党」の危うさ

今年7月に行われる東京都議選で、「小池新党」旋風だの台風の目といった報道が流されている。
しかし、「都民ファーストの会」が何を目指すのか、どういう政策を進めるつもりなのか、未だに不明確だ。
ブームの火付け役ともなった築地市場から豊洲市場への移転問題でさえ、明確な態度を打ち出していない。むしろ、最近の言動を見るかぎりでは、世論の動向をみながら最終的には豊洲移転を目論んでいると思われる。
百条委員会も期待した結果が得られずに終わってしまった。
世論調査では小池知事の支持李は7割を超えているが、どこが評価されているのか、私には分からない。

都民ファーストの会の現在までの公認予定候補の顔ぶれは、
・前回都知事選で小池を支持した現職都議:3名
・自民党の都議、市議、区議:11名
・民進党前都議ら:4名
・その他:7名
という構成だ。
私の住む地域でも、前回民進党公認で落選した人が、今回は「新党」から立候補する。どうやら、政策に共鳴というよりは、ブームに乗って当選したいという人物が集まっているようだ。

忘れてはいけないのが、小池百合子は現在も自民党党員であり、自民党も小池を除名する気がないことだ。
当然のことながら、小池都知事は自民党本部、とりわけ政権の意向には逆らえない。小池百合子が代表を務める「都民ファーストの会」もまた、大きくは政権のコントロール下に置かれることになろう。
都議選では自民党都議の苦戦も伝えられているが、
「オール自民」=「自民」+「都民ファーストの会」
とすれば、選挙の結果、「オール自民」としては却って議席を増やす可能性が大きい。民進党など野党が大きく議席を減らすという結果になりかねない。
政権としては痛くも痒くもないわけだ。

自民党に党籍を起きながら、永年にわたる利権まみれの自民党都政を根本的に転換することは不可能だろう。
終わってみれば豊洲市場問題も、小池新党ブームに利用されただけという結果になるような気がするのだが。

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2017/04/07

「共謀罪」は「狂暴罪」

・過激運動者が不穏な行動に出る傾向はますます増加
・取り締まり法規が不十分
・決して曖昧な解釈を許さぬ
・無辜の民にまで及ぼすというごときことのないように十分研究考慮いたしました
・決して思想にまで立ち入って圧迫するとか研究に干渉するということではない

以上は法案審議で政府はこう答弁していた。どんな法案かというと、「治安維持法」だ。言葉は古くさいが、内容はいま審議している「共謀罪」の安倍首相の答弁とウリ二つではないか。
治安維持法は、当初は共産主義を対象にしたものだったが、その後どんどん対象が拡大され、やがて宗教団体や、右翼活動、自由主義等、政府批判はすべて弾圧・粛清の対象となっていった。
その結果、194人が取調べ中の拷問・私刑によって死亡し、更に1503人が獄中で病死したとされている。
こうした法律が怖いのは、いったん成立すると独り歩きし始め、政権の意向や情勢の変化によりいくらでも恣意的に変えられることだ。
為政者は常に「小さく産んで大きく育て」ようとするから、油断ならない。

組織犯罪を計画段階で処罰可能とする「共謀罪」の成立要件を絞った「テロ等準備罪」(以下、ここでは「共謀罪」と表記する)を新設する組織犯罪処罰法改正案が4月6日午後、衆院本会議で審議入りした。
先ず、「テロ(テロリスト、テロリズム)」という言葉の定義がアイマイなのだ。第二次大戦中、ナチス占領下で行われた抵抗運動を私たちはレジスタンスと呼んでいるが、ナチスは彼らをテロリストとしていた。
先日、NHKの特集でシリア・アレッポでの病院への爆撃の様子を放映していたが、シリア政府からすれば反政府勢力の地域にある病院もテロリストだから、攻撃は当然という理屈になる。
しかし、サリンなど化学兵器まで使って市民を殺傷しているシリア政府の方こそテロリストを呼ぶべきだ。
テロという言葉は、どちら側から見るかによって180度変わるものなのだし、時の政権の意向や社会情勢によっていかようにも変えられるものなのだ。

今回政府が提出した法案は、適用対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪団」と規定。277種類の罪の実行を「2人以上で計画」し、グループの誰かが「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」という「準備行為」を行った場合に、処罰されるという内容だ。

政府は、処罰対象は「組織的犯罪集団」に限ると説明し、その集団は、テロ組織、暴力団、薬物密売組織と例示している。
しかし、国会での質疑で金田勝年法相は「それ以外のものも含まれる場合がある」とした上、なにが「共謀」にあたるか判断するのは捜査機関と述べた。
安倍首相も組織的犯罪集団の「法定上の定義はない」と答えている。
これでは対象が、警察など捜査機関の判断にゆだねれられ事になる。そして、捜査機関が政治的に公正中立でないことはご存知の通りだ。
また金田法相は質疑の中で、共謀罪をめぐる捜査で、電話やメールなどの盗聴を可能にした「通信傍受法」を使うことを将来的に検討すると答えている。
結局、共謀罪の成立は国民を萎縮させ、国民の人権やプライバシーが侵される監視社会への道を開くものだと言える。

安倍首相は盛んにこの法案がオリンピックをテロから守るためという口実を設けているが、過去の事例からすればオリンピックとテロとは直接関係ない。
第一、オリンピックの開催がそれほど国民の命を危険にさらすものだとしたら、なぜ五輪招致の段階でその説明をしなかったのか。
テロ対策という点でいうなら、日本はすでにテロ防止のための13の国際条約を締結し、57の重大犯罪については未遂より前の段階で処罰できる国内法がある。
政府が度々持ち出す国際条約も、麻薬取引やマネーロンダリングなどの国際犯罪を防ぐためのものであり、「テロ対策」が目的ではない。

どのように形を変えようと、名称を変更しようとしても、「内心の自由」を侵すという共謀罪の本質は変わらない。

戦前の「治安維持法」では、日本国内で死刑判決を受けた人は一人もいない(朝鮮では45人に死刑が執行された)。なかには量刑では軽微な者もいた。それでも取り調べ中や獄中で1700人もの人が死亡していたことを忘れてはならない。
時代や法律の中身こそ違え、「共謀罪」は私たちにとっては正に「狂暴罪」である。

【追記】
上の記事をアップしてから、米国トランプ政権がシリア政府軍の基地にミサイル攻撃を行ったとの報道に接した。シリアとロシアは、米国の攻撃を侵略行為として激しく非難している。
いかなる理由があろうとも、国連の決議なしに一方的に他国を攻撃する行為は許されない。
米国の行為はシリアの内戦状態をさらに悪化させるだろうし、米国の攻撃は明らかな誤りだ。


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2017/04/03

安倍の「保守」は紛い物だ

私は、自分自身は「保守」だと思っている。少なくとも保守的な人間だと思っているのだが、ある記事を読んでその思いを深くした。
月刊誌「選択」2017年4月号の巻頭で、元行革担当相の村上誠一郎自民党衆議院議員へのインタビューが掲載されていて、掲題の見出しはその記事に倣ったものだ。
その中からいくつかを抜粋して紹介したい。

―第二次世界大戦を知らない世代が、やれ教育勅語だ、靖国参拝だのといっても、そこには本当の愛国心はない。稲田朋美防衛相が、「祖国のために命を捧げる」と勇ましいことを言うのも、戦争体験のある世代には、実に乱暴な物言いであり、命を軽々に論じているようにしか聞こえない。学徒出陣で肉親を失った人はどう思うだろうか。

―保守の本質は、国民の暮らしと安全を守り、良き伝統、手法を引き継いで常に正義を目指す。それは時代によって変わる。
今の日本にとって、戦後確立した立憲主義、民主主義を守ることも、真の保守政治というものだ。

―明治の思想家、新渡戸稲造は、武士道の研究において、日本人の価値観の中で「義」や「仁」の大切さを説いた。それは国民に誠実に向き合い、慈愛の精神を持つことで、日本人が最も大切にしている価値観だ。

―安倍外交は、米国のトランプ大統領と食事とゴルフを共にしたが、アジアで味方を増やしていない。私も中国の言動を是認するわけではないが、戦争の傷跡は加害者よりも、殴られ、痛い目にあった方が残るものだ。慈愛の心なくして周辺と仲良くできない。

―英国では、メイ首相がトランプ大統領の訪英を求めたのに、約200万人が反対の署名をした。相手が超大国でも、自国の価値観を大事にする。これこそが、立派な保守の国ではないだろうか。

―今の自民党は自由闊達な政党と言えない。政治家には「ノブレス・オブリージェ(高貴な者の義務)」の精神が不可欠で、正義を貫くこと、勇気を持つことが求められる。今の党内には、上に迎合し、選挙やポストで得しようとする風潮が強い。

―民主主義派デリケートなものだ。国民は常に、守り育てなければならない。米国のマッカーシズムのようなポピュリズムに走る危険性は、常にある。

註「マッカーシズム」
1950年代にアメリカ合衆国で発生した反共産主義に基づく社会運動、政治的運動。通称「赤狩り」。共産主義という烙印を押された人たちが迫害を受けた。

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2017/01/29

トランプに期待する?

1月24日付朝日新聞に、永年にわたり政権批判を続けてきた映画監督オリバー・ストーンがインタビューで「トランプ大統領もあながち悪くない」と意外な評価をしていた。
その趣旨は次のとおり。
・米国が「米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変える」という政策から脱し、「米軍を撤退させて介入主義が弱まり、自国経済を機能させてインフラを改善させる」政策への転換が出来るなら素晴らしいこと。
・これまで米国は自国経済に対処せず、貧困層を増やし、自国経済を機能させてこなかった。トランプがかつてないほどの雇用を増やすというのは誇張かも知れないが、そこから良い部分を見つけねばならない。
・トランプはイラク戦争は膨大な資産の無駄だったと明快に断言している。こうしたプラスの変化は応援したい。
・ロシアがトランプを応援するためにサイバー攻撃をかけていたというCIAの見解については懐疑的だ。CIAはベトナム戦争やイラク戦争などで間違った情報を流し、他国の主権を認めたがらず、多くの国家を転覆させてきた。そんな情報機関をけなしているトランプに賛成する。
・ハリウッドのリベラルな人たちがトランプを批判している点について、彼らは真のリベラルではない。米国がテロとの戦いを宣告した2001年以降、米国に批判的な映画をつくるのが難しくなり、そうした映画がどんどん減っている。米軍が過剰に支持・称賛されたり、CIAがヒーローに仕立てられたりする映画やテレビシリーズが目立ち、非常に腹立たしい。

ただこのインタビューでは、自国第一主義を各国が掲げることにより、経済衝突の激化による軍事的緊張関係が増大する可能性については言及されていない。
さらに、トランプ流が世界に蔓延した場合に起きる人権無視、人種差別、排外主義の横行の危険性にも触れていない。
こうした点にオリバーストーンがどう答えるのかは不明だ。

もう一つ、このインタビューで注目すべき発言がある。それは日本にかかわることだ。
オリバーストーン監督は、米政府による個人情報の大量監視を暴露したCIA元職員エドワード・スノーデン氏を描いた新作映画「スノーデン」を撮るにあたり、彼とは9回会って話を聞いている。その中で日本に関して次の様に述べていた。
・スノーデンが2009年に横田基地内で勤務していた頃、日本国民を監視したがった米国が、日本側に協力を断られたものの監視を実行した。
・スノーデンは又、日本が米国の利益に背いて同盟国でなくなった場合に備えて、日本のインフラに悪意のあるソフトウェアを仕込んだ。

ここからは私の見解になるが、現在の日米関係を考えるうえで、在日米軍が今なお日本を監視し、悪意のあるソフトをインフラに仕込むことまでやっているというスノーデンの証言は非常に重要だ。
米軍は日本に多くの基地を置き、それは日本を守るためと思われているが、決してそれだけではない。
太平洋戦争で日本は米国に一方的に敗れたというのが定説になっている様だが、実際には米国も大きな打撃を受けていた。
大戦中に米軍で司令官が戦死したのも、最高位(中将)の軍人が戦死したのも、沖縄戦だけだ。沖縄戦では兵士の3分の1が精神に異常をきたし本国へ送還されたとある。終戦前の武器も装備もない沖縄戦でも米軍はこれだけの犠牲を出していた。
もちろん、沖縄県民の被害は想像を絶するものだったことは言うまでもない。
今でも米国はアジア最強の国は日本だと見ている。だから日本を敵に回すような事は絶対に避けたいのだ。
米軍の日本駐留の目的は、こう考えるべきだろう。
1.日本が二度と米国に敵対することがないよう監視する。
2.中国を封じ込め、東アジア及び東南アジアの共産化を防ぐための橋頭堡にする。
3.太平洋の制海権の確保。
4.安保条約に基づく日本の防衛。
もし、トランプが以上の諸点に興味を失い、日本を単なるビジネスパートナーとするなら、米軍の日本駐留は意味がなくなる。
日本の防衛は日本自身でとか、守って貰いたかったら費用は全額負担せよというトランプの主張は、決して的外れとは言えまい。
戦後70年、日本はいま大きな岐路に立たされている。

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2017/01/07

そんなに「トランプ」が怖いのか

トランプ米国次期大統領の暴言がとまらない。妄言と言った方が正確かな。
一昨日にはツイッターで、トヨタがメキシコに工場を建設する計画している問題に関して、「米国に建てるか、国境で高い税金を払へ」と脅した。
米国の大統領になる人物が日本の一企業の工場建設にまで口を出すとは、なんと「ケツの穴の小さなヤツ」だろうか。
そう嘲笑し返すしかない。
トヨタは今のところ計画を変更する気はないようだが、他社の中にはメキシコへの進出を見直す動きが出ているとのこと。
チキンな経営者もいるもんだね。

オスプレイの事故原因が未だ解明されない中で、日本政府が早々にオスプレイの飛行と給油訓練を認めたのも、トランプの顔色を窺っているためと報じられている。
何をそんなにトランプを怖れているのだろう。
普段は偉そうなことを言ってるが、安倍も稲田もしょせんはアメリカのポチだね。

さて、そのトランプだが、次期大統領としては不安がいっぱいだ。
大統領選挙の当日に、当選者の不支持率が60%だったというのは異例らしい。
それでも大統領に就任したら、米国の指導者として言動を改めるのではという期待もあったが、その気配はない。
果して4年間の任期を全うできるのかという疑問の声も出ている。
一つは、ここの所、米国の情報機関が相次いで発表している、ロシア・プーチンによる選挙干渉の事実だ。
もちろん、この情報によって選挙結果がひっくり返ることはないが、多くの米国民から大統領としての正統性に疑問が持たれるだろう。これは連邦議会での政権運営に影を落とす可能性がある。
二つ目は、トランプは共和党の大統領でありながら、従来の共和党の政策とあまりにかけ離れているという点だ。
・親ロシア→共和党は伝統的に反ロシア色が強い
・保護主義→共和党は自由貿易志向
・大きな政府→共和党は小さな政府が目標
連邦議会では共和党が多数を占めているとはいえ、基本政策があまりにかけ離れていると協力が得られなく可能性がある。
三つめは、トランプが就任後も今のような暴言、妄言を繰り返していると、米国自身の信用力を落とし、やがて国家間の軋轢を生むことになろう。

大事なのは、トランプに怖れることなく、就任後の政策や発言を注視することだ。
(敬称略)

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2017/01/05

「子どもの貧困問題」の解決こそ喫緊の課題だ

年賀状に近況が書かれていると読むのが楽しくなる。今年頂いた年賀状では、かつての会社の上司が「子どもの貧困問題」に取り組んでいるとのこと。私より5歳年上なのにと、わが身を振り返り恥ずかしくなった。
いま取り組まねばならない課題が多々あるが、なかでも「子どもの貧困問題」の解決は最優先課題といって良い。

この件に関して駒崎弘樹氏(認定NPOフローレンス代表理事/全国小規模保育協議会理事長 )が「2017年にはぶっ壊したい、こどもの貧困を生みだす日本の5つの仕組みとは」という記事で書いている。
極めて実践的な内容と思われるので、内容の一部を紹介したい。
1、生活保護家庭の子どもは大学に行っちゃダメ
「生活保護家庭の子どもたちは、大学進学できない」というのだ。
これは大学進学が贅沢という考えからだそうだ。
しかし、駒崎氏が指摘しいるように「安定した仕事につき、貧困の連鎖から抜け出すためには、大学進学という道は非常に有効です」。
但し、抜け道があって「生活保護を受けていても、”世帯分離”と言って、進学する子どもだけ世帯から外してしまうことで、その子は大学に進学することはできます」。しかし「世帯分離した分だけ、生活保護費は数万円減ります」ということになるのだ。
今の時代、大学に進学することは贅沢でもなんでもないのであって、貧困の再生産とう負のサイクルを止めるためにも、直ちに見直しが必要だ。
2、妊娠したら高校退学させられる
「全国の高校では、妊娠した場合、退学させるというルールになっている」というのだ。例えば「岩手県教育委員会の制定する『岩手県立高等学校の管理運営に関する規則』の中には懲戒規定があり、性的暴行(レイプ)と並んで妊娠を退学処分としている」という
レイプと妊娠を同列におくというのもムチャな話だが、妊娠を「させた方」には何もお咎めがなく、「させられた方」だけが処分の対象になっている。
駒崎氏はこう続けている。
「ほぼ99%、妊娠させた方の男はバックれます。女の子はシングルマザーとして、働きながら子どもを育てていきますが、高校中退で安定した仕事につける確率は相当低くなります。 当然貧困化するリスクが上がり、子どもに教育投資できず、子どももまた貧困化していく可能性が高まります。
学校が貧困を生み出しているじゃないか!」
3、低所得のひとり親に出される給付金支給が4ヶ月に1回
「低所得のひとり親には、児童扶養手当という給付金が支給されます。 月最大で4万2000円、子ども2人目は1万円というわずかなものですが、これがひとり親家庭のライフラインになっています。
さて、この児童扶養手当、役所から振り込まれるのが、4ヶ月に1回なんです」。
役所は4ヶ月計画的に使えば良いと言うが、カツカツの生活をしていると3ヶ月の終わり頃にはお金がなくなり、消費者金融や闇金から借金し、最後は生活が破綻するケースが出てくる。
「そうやってにっちもさっちも行かずに、県営団地を立ち退きさせられるその日に、中1の娘を運動会のハチマキで母親が首を絞めて殺した事件が銚子市でありました」。
駒崎氏はこう呼びかける。「厚労省さん、年金が2ヶ月に1回、生活保護は毎月支給なんだから、児童扶養手当も毎月支給にしてください」。
4、義務教育でも金がかかりすぎ
私事であるが、孫娘が昨年中学に進学した。公立中学だが、制服代だけでセットで数万円、他にも諸々の教材費がかかる。部活でバスケット部に入ったが、このユニフォームやらシューズやらひと揃えで10万円近くかかったそうだ。娘は「これだけの費用、他のご家庭ではどうしてるのかしら?」と言っていた。
義務教育は無償の筈だが、実際にはかなりの金がかかる。
金額は一定なので、当然、貧困家庭への負担は大きい。
駒崎氏は言う。
「何ですか、この”学校指定”って。何で学校指定の文房具屋で買わないとダメなんですか?これって、地元の文房具屋への、制服だったら洋品店への公共事業ですよね?その公共事業を、なんで子育て世帯の財布から出さないといけないんですかね?」
制服代だって高すぎだ。イギリスでは500円程度の学校もあるそうで、官民あげて義務教育にかかる費用を抑える工夫が必要だ。
5、医療的ケア児は普通に学校に行けない
この件では駒崎氏は次のように記している。
「鼻からチューブを入れたり、気管切開をしている『医療的ケア児』。こうした障害のある子達が特別支援学校に行こうとすると、『親が同伴で付いてきてくれたら、通学できますよ』と言われます。
親は学校で教育を受けさせたいと思うので、仕方なく一緒に通学します。そして教室の端っこで、6時間座って待っています。待機児童ならぬ待機親です。
当然仕事は辞めざるを得ません。だいたいの場合、母親が辞めます。共働き家庭は、片働きになり、収入は激減します。医療的ケア児家庭は、公共交通機関での移動がしづらいため、車を持たなくてはなりません。そうした費用も家計を圧迫します。
ひとり親だったら、生活保護しか道はありません。医療的ケア児の介護に心身ともに負担がかかるのに、我々の社会は更に経済的にも追い打ちをかけているのです」。
駒崎氏によればこの問題は、学校に訪問看護師が行けるようにして、親の代わりに医療的ケアをしてあげればある程度解決する、と言うのだ。
だが、訪問看護は健康保険法で「居宅(家)だけ」に限られている。それなら法律を変えれば良いわけだ。

以上の諸課題は、いずれも僅かな制度改正で実現できることであり、子どもの貧困と貧困の再生産の克服に効果を発揮するものと思われる。
「子どもの貧困問題」の解決には他にも重要な課題があると思うが、とにかく早急に対策を講じることが大切だ。

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