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2023/02/25

今のロシアはかつての日本と重なる

つい数か月前にはウクライナ戦争でロシアは敗北し、プーチンは失脚するという報道がなされていたが、どうやら西側の希望的観測だったようだ。
一部には戦争に反対する声があるようだが、大半のロシア国民はこの戦争を熱狂的に支持し、プーチンへの支持率も低下していない。
彼らは、ウクライナのファシストによる侵略からロシアを防衛するためという大義名分を信じている。つまり彼らにとっては祖国防衛戦争なのだ。だから一歩も引けない。
翻ってアジア太平洋戦争の時の日本はどうだったが。
中国へ侵出を始めた当初、軍の幹部は3か月で片づけてみせると大見得を切った。自国の戦力を過信し、相手を甘くみたツケが泥沼の戦争になっていった。
アメリカに宣戦布告した際に、日本国民は熱狂した。学者や文化人たちも一部の人を除き、対米戦争を熱狂的に支持した。なぜなら、これは日本にとってはやむにやまれぬ防衛戦争だと信じていたからだ。
開戦からおよそ半年は戦果をあげたので、国民はますます熱狂した。
しかしその後は敗退が続いたが、政府は事実をひた隠しし戦局は有利に進んでいるような情報を流していた。
戦局が不利になると言論統制を強める点も、当時の日本も今のロシアも同じだ。
ロシア経済が大打撃を受けているとの報道があるが、2022年のGDPは対前年比でー2.1%で、むしろ底堅さを感じる。
ウクライナ戦争はまだまだ楽観を許さない。
この戦争でウクライナの市民の犠牲は、1年間で8000人にのぼるとされている。
アジア太平洋戦争では、1945年の8か月間だけで米軍により数十万人の日本の一般市民が殺害された。
いつの時代でも戦争の犠牲になるのは一般市民だ。

日本のウクライナへの支援は着実に進んでいるが、既に5万人の死者をだしたトルコ・シリアへの支援はどうなっているんだろう。
昨年のパキスタンの水害被害といい、どうも日本政府はアジアや中東には冷たいようだ。
G7の一員となって、すっかり白人気分か。

 

2023/02/04

台湾というリスク

今でこそ中国による台湾侵攻が日本の安全保障上の重大問題としてクローズアップされているが、私の若い頃は逆に台湾が中国本土への侵攻を図り攻撃を行っていた。
当時の日本では左翼政党を除き、与党の大勢は台湾の行動を支持していた。
中国では、第二次世界大戦を挟んで国民党と共産党との長い戦いを経て、1949年に共産党が勝利し、国民党は台湾に逃れる。
しかし、共産党政権が中国全土の支持を受けていたわけではなかった。
むしろ国民党内部の腐敗がひどく国民から見放された結果、共産党が政権を握ったのであって、いわば国民党の勝手なオウンゴールによるものだった。
台湾の国民党は中国本土の政権の脆弱性と、革命後の混乱に乗じて本土を攻撃し、政権の奪還を図った。
これが1962年から始まった通称「台湾による中国本土反攻作戦」と言われる「国光計画」だ。
当時の中国は台湾が代表していた。国連でのChina(中国)は台湾であり、今の中国はRed China(中共)と呼ばれていた。国際的には台湾に正当性があったわけだ.
台湾は陸海空軍を総動員して中国本土への上陸作戦を敢行する。
台湾はアメリカとの間で「米華相互防衛条約」を結んでおり、当然台湾はアメリカが支援するものと期待していた。
ところがアメリカ政府は台湾の行動を「中国の国内問題」として、中立の立場を表明してしまった。結果として、この時のアメリカ政府の判断は正しかった。
アメリカからの支持を失った台湾はそれでも軍事行動を強行したが、手痛い敗北を喫し大陸反攻を断念する。
1970年代に入ってからは、国連での中国代表権は台湾から今の中国に移ってしまい、日本政府もこれに追随する。
こうして見ていくと、中国が「台湾は中国の国内問題」という主張もあながち的外れとは言い切れない様に思える。
この様に安全保障の環境というのは時代とともに変化していくので、注意が必要だ。
現在の日本は台湾と友好関係にあり中国を仮想敵に見なしているが、もしこれから台湾が親中の国民党政権に移った場合、日本の安全保障も練り直しが求められるだろう。
その時は却って台湾支持がリスクになることもあり得るわけで、中国との関係も注意して舵取りをせねばなるまい。

2023/01/31

「首相長男の公用車観光」は日本の構造上の問題

1月に岸田文雄首相の欧米歴訪に同行した長男翔太郎政務秘書官が公用車で観光したと報じられている。報道によると、翔太郎氏は自ら希望し、日本大使館の公用車でロンドンのバッキンガム宮殿や老舗百貨店「ハロッズ」などを訪問し、土産も購入したという。
首相側は、対外発信に使用する目的で街の風景を撮影したり、首相の代理で土産を購入したりするために公用車を使用しただけで、「公務以外の不適切な行動はなかった」と説明している。
この問題を考えるにあたり、2点を整理する必要がある。
①この時期に岸田首相が欧米を歴訪する必然性があったのだろうか。国内には課題が集積していて、首相として最前線に立たなばならなかった筈だ。軍事費を2倍にするという重要政策についても、先ずは日本国民に納得してもらうことが大事で、米国大統領への説明はその後ですべきだったろう。
記者会見や国会審議での不機嫌そうな表情に対して、欧米歴訪時の表情は写真で見る限りゴキゲンな顔に見える。
ひょっとして首相の目的は息抜きだったのではと勘繰りたくなる。
まあ、海外に行って羽根を伸ばし、チヤホヤされるのはさぞ気分がいいのだろう。
②同行した首相の長男が、専ら観光や土産物の買い出しに精を出したのも、元々が大した目的がなかったからだ。首相がちょこっと首脳会談を行っている時に、長男は秘書官としてせっせと買い物をしたり観光をして時間を潰していたに違いない。
現地の大使館は館員をガイド代わりにして公用車を出して応対した。なぜなら、それが彼らの仕事だからだ。
日本から国会議員、特に大臣が来るとなると、宿泊、食事、観光、買い物の手伝いに大忙しになる。満足してもらえないと出世に係るから一大事だ。
これは民間企業でも同様で、本社からオエライさんが来るとなると現地駐在員などが添乗員代わりになって奮闘する。ひと昔前なら、女性の世話までしたという。
首相長男の公用車利用は、日本が抱えている構造上の問題を浮き彫りにしている。

2023/01/18

全ての戦争は「防衛」から始まる

全ての戦争は「防衛」から始まる。
先のアジア太平洋戦争も、元は日本の防衛という大義名分から始まった。
今のロシアによるウクライナ侵攻はどうだろうか。ロシアは「防衛」のためとしている。歴史を振り返れば、こうした主張は根拠がないと一笑にふすことは出来ない。
世界各国が行ったいわゆる「干渉戦争」で、日本もシベリア出兵やノモンハン事件を引き起こし、ロシアに脅威を与えた過去がある。
そして最大の脅威は、第二次大戦時のナチスドイツによる侵略だった。
戦後は、アメリカを中心とした西側とソ連を中心とした東側の、両陣営による冷戦が数十年にわたり続いた。
ソ連を封じ込めるための西側の軍事同盟「NATO」が結成され、対抗してソ連を中心とした東側の軍事同盟「ワルシャワ条約機構」が結成された。
20世紀末になってソ連は崩壊し、ワルシャワ条約機構も解体した。
その時点でNATOも役割を終えていれば問題はなかっただろうが、反対に好機とみて東側の国を次々とNATOに加盟させ拡大を図ってきた。
東西ドイツの合併にあたり、ドイツより東側へのNATO拡大は行わないという約束は守られず、気が付けばかつての同盟国でさえNATOに飲み込まれていた。さらに隣国のウクライナまでがNATO加盟を主張し出した。
もし、ウクライナに米国製のミサイルが配備されたらと考えると、ロシアにとっては安全保障上の危機となる。
誰もロシアを攻撃なんてしないさ私たちは思いがちだが、ロシアからすればそう楽観的ではいられない。
ウクライナのNATO加盟だけは何としても阻止したいとロシアが考えたのも、それなりの理由があったということになる。
「防衛」問題の難しさは、客観的に危機にあるかどうかというより、当該国が危機として感じているかが優先される。
「防衛」が戦争に発展するのも、そこが原因だ。
今の日本も、この点は肝に銘じておくべきだ。

2022/12/27

ウクライナはロシアとの停戦交渉を急いだ方がいい

つい一月前ごろには、ウクライナ戦争でロシアが苦境に立たされており、プーチンがいつ失脚するかという論調が流れていた。
処が、最近になってむしろロシアが攻勢に出てウクライナが苦境に陥っているとの観測が西側のメディアから報じられている。
冬季になってからロシアは得意の後退や停滞の戦術をとり、ウクライナ軍を追い詰めている模様だ。
ウクライナ軍の損耗は激しく、死者が一日当たり250人とされる。
戦闘機の数は開戦当時に比べ半減しているようで、専らNATOから供与された無人機に頼っている。
消耗戦は国土も国力もロシアに比べ劣るウクライナには不利に働く。
戦争報道というのはかくも不確かなもので、日本の場合、西側からのプロパガンダや偏った情報が飛び交いがちになるので、、そうした情報に踊らされるぬよう注意が必要だ。
こうした情勢もあり、先日ゼレンスキー大統領は急遽アメリカを訪問し、バイデン大統領との首脳会談や議会での演説を行った。
TV中継もされた演説は熱烈歓迎だったようで、20億ドルの地対空迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を取り付けた。
しかし、現地からの報道によれば、ゼレンスキーの議会演説では下院の共和党議員の多くが欠席していた。共和党の関係者からは、ゼレンスキーは生活保護の不正受給者だという非難の声もあった。今アメリカでは物価高騰による生活困窮者が増え、ウクライナどころではないという状況もある。
今後、下院で多数を占める共和党の発言力に押され、アメリカからの援助が細る可能性が高い。
また、ウクライナ軍によるロシア本土への攻撃(敵基地先制攻撃)には、これ以上のロシアとの対立は避けたいホワイトハウスから釘を刺されている。
ゼレンスキーが、キーウのロシア正教教会を「スパイの巣窟」だと決めつけ破壊し、神父らを拘束していたことも、アメリカの保守派宗教団体からの反発もある。
アメリカからの援助抜きでは、ウクライナは戦闘を継続できない。
こうした状況を勘案すれば、ウクライナはロシアとの停戦交渉を急いだ方がいい。
「一将功成りて万骨枯る」になっては困るのだ。

2022/12/21

安倍元首相が亡くなって

今年の10大ニュースのトップになったのが、安倍元首相が銃撃により死亡した事件だった。
長期政権で日本の政治に君臨してきた安倍の死去は、様々な影響を及ぼし始めた。
確実にいえることは、安倍が存命なら旧統一教会の問題がこれほど大きくクローズアップされる事はなかった。旧統一教会がこれほど自民党を中心に多数の政治家に深く浸透し、政治を動かしてきたことが明るみになることは無かった筈だ。
旧統一教会と政治との係わりは引き続き温存されていただろう。そう考えるとゾッとする。
安倍といえば、モリカアケ桜疑惑が定番だが、この問題の重大さはそれらと比較にならぬ。
不思議に思うのは、安倍がなぜあそこまで旧統一教会に肩入れしていたのかだ。彼らは日本から吸い上げた資金の大半を韓国に送っていた。それは偶然でもなんでもなく、彼らの教理に根差したものだった。さらにその一部は北朝鮮に送られていた。
総理を長く務めていた安倍が、こうした事実を知らぬ筈はない。安倍は最終的に何を狙っていたのだろう。
残念ながら、その点が明らかにされることは無い。
東京五輪をめぐる不正も、安倍が健在なら抑えられた可能性がある。
その一方、安倍の残した課題が引き継がれたものもある。その最も大きなものは、例の防衛費をGDPの2%に引き上げるという政策だ。米国の要請に応えたもので、当時は全額を国債で賄うという無責任な主張だったが、さすがにそれだけは岸田政権も鵜呑みにしなかった。
岸田がもっと賢明なら、ヒト・モノ・カネを細分析したうえで最適な防衛費を算出して国民に提示しただろうに。
岸田にとって大事なのは「聞く力」より「考える力」だ。

2022/12/16

世論は気まぐれだ

世論調査では、防衛費の増加に賛成する人が6割を超えている。岸田首相としては、これで国民の支持を得たと思ったのだろう。防衛費を増やした分は、いずれ国民が負担せねばならぬのは分かり切ったこと、と岸田は考えたのだろう。国民は既にそれ相当の覚悟ができた筈だと。
処がそうではなかった。
増税に話が及ぶと、途端に反対の声が大きくなった。防衛費増と増税は別ものだったのだ。
時事通信の最近の調査では、防衛費増への賛成と反対がほぼ30%台と拮抗してしまった。
世論とはかくも気まぐれなものなのだ。
国債で賄えという意見もあるようだが、今現金が無いからローンにしてくれというのと同じであり、返済が元利合計となるのでより負担はより重くなるだけだ。
初めに金額ありきがけしからんという批判があるが、今回の防衛費増は元々安倍元首相が防衛費をGDPの2%にすると言い出したのが始まりで、岸田はその主張をを継承しているだけだ。
その安倍の主張も米国の要請に応えたものであり、確たる根拠があったわけではない。
いま政府が国民に問わねばならぬのは、防衛費UPのためには23年度からの5年間だけで43兆円の財源を確保せねばならぬこと。
そのためには増税が不可欠で、所得税、法人税、消費税などあらゆる選択肢を俎上に乗せて検討してゆくと正直に(岸田の常套句なら”丁寧に”)説明することだ。
さらに防衛費については金額だけの問題にとどまらず中身のこともある。
政府が閣議決定しようとしている安全保障関連3文書では、今回初めて反撃能力(敵基地攻撃能力)が明記されている。これは日本の安全保障政策の大転換であり、憲法に抵触する可能性がある。
日本が反撃能力を持てば、他国は恐れをなして攻撃をしなくなると言うのは希望的観測に過ぎない。逆に警戒感をより強めて一層の軍拡に走ったり、より精巧な兵器を備えたりすることだってある。
軍拡競争で大事なことは、相手側の意図を正確に予測することにある。アジア太平洋戦争では、それで失敗したではないか。
防衛費増額については日本の大きな転換点になるので、政府はここで国民に信を問うべきだ。

2022/12/10

「軍拡賛成、増税反対」はムシが良すぎる

世論調査によれば、防衛費の増加には半数以上が賛成している。
処が、増税には多数が反対のようだ。
昨日の自民党の会合では、反対意見の大合唱だったようだ。防衛費増大を牽引してきた自民党が増税に反対するのは平仄にあわぬ。
国債で賄えという声もあったようだが、これ以上国の借金を増やしてどうするのか。
どうやら、増税は選挙に不利とみての反対ポーズだ。
防衛費は恒久的な支出なので、財源も恒久的なものになる。
歳出削減という声もあるが、まとまった金額を削減しようとすれば医療や年金などの社会福祉費に手をつけるしかあるまい。
既に政府は、高齢者の医療費負担を1割から2割に倍増し、2024年度から医療保険料を5400円引き上げる方針だ(いずれも低所得者は除く)。
さらに介護保険料の値上げを計画している。
早くいえば「枯れ木に水をやらぬ」作戦だ。
この様に、歳出削減は先取りするように着々と進められているのが現状だ。政府は財源の一部を法人税の増税で賄おうとしている。
昨日、西村経産相は法人税での増税に慎重な立場を明らかにし、「投資の意欲を示し、また賃上げについても多くの企業が、かなりの意欲的な取り組みの方向性も示している。このタイミングで増税については慎重になるべき」と述べた。政府の方針に閣僚が反対意見を述べるのは異例だ。
政府は所得税の増税は行わないという方針を表明しているので、最終的には消費税に手をつける事になるかと予想している。
今回の防衛費増額の概算には、人件費の増加が含まれていないようだが、自衛隊員の増員は不可避だ。今でさえ定員割れの自衛官をこれから大幅に増やすためには、かなりの費用がかかる筈だ。それとも徴兵制にするつもりだろうか。
いずれにしろ「軍拡賛成、増税反対」は理屈にあわぬ。
どこか押せば、どこかが引っ込むのだ。

2022/12/08

中国を侮ってはいけない

西側(日本を含む)の報道だけを見ていると、中国は世界から孤立しているように見えるが実態はどうだろうか。
先日のG20では、ロシアのウクライナ侵攻に対し明確な批判をしたのはEU,日本、韓国、オーストラリアだったが、アルゼンチン、ブラジル、インド、インドネシア、メキシコ、サウディアラビア、南アフリカ、トルコの8ヶ国は中国の立場を支持した。ほぼ半分に分かれた。発展途上国がこぞって中国を支持したので、習近平はすっかり気を良くしたという。
中国は豊富な資金を世界にばらまき、今や100ヶ国ほどが中国から融資を受けている。
G20でみれば、インドネシア、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカが中国から借金していて、東南アジア諸国も同様だ。なかには債務が膨らんで財政危機に陥ってる国も出てきているが、米国など西側からは誰も助けてくれない。
習近平はバイデンとの首脳会談にあわせて各国を歴訪し、30ヶ国の首脳と会談したが、それぞれが各30分ほどだった。会談というよりは、まるで朝憲を受ける皇帝のようだ。
では、中国が世界のモデルになるような体制を敷いているだろうか。
旧憲法にあった、国家主席は連続して2期を超えてはならないという規定を削除して、習近平は事実上の終身独裁体制を築いた。
また、「監察委員会」を新設して、あらゆる公職者を監視下におくようにした。これは習近平だけの直属の権力機関だ。
ここまで個人独裁を憲法で正当化している国は、G20の中では中国だけだ。他国にとって中国モデルは参考にならないのだ。
それでも親中国が支持を拡げているのは、先に書いた各国への融資が大きく作用しているからだろう。
その他に、西側諸国で性的少数派の人々の権利拡大が進んでいることに、アジアやアフリカの国々に当惑が拡がっていることがあげられる。
いま開催されているW杯の開催国であるカタールに、同性愛に不寛容であることを理由に、EU各国が強く抗議した。
だがイスラム各国にとっては明らかに行き過ぎだった。
FIFAの会長(スイス人)は、「偽善の極み」と西欧を批判しカタールを擁護した。
このように西側の価値観(それが正当であったとしても)を相手国に一方的に押し付けるような態度をとれば、反西側の勢力を増やすだけだ。
中国と対峙している日本にとって、いかに相手国を孤立させ、味方の支持を増やすのかにもっと知恵を絞らねばなるまい。
それが無理なら、相手との宥和を図るしかない。

2022/12/06

【ウクライナ】これは戦争なんだぜ

ロシアが発電所などのウクライナのインフラへの攻撃を強めていることに対して、ゼレンスキー大統領はこれはテロだと強く反発している。
劣勢に立たされているロシアは戦争に勝つために必死だ。
ロシアにとって冬季こそ味方に出来ると考えるのは、過去のナポレオンやヒットラーとの戦争の記憶が残っているせいだ。こうした勝利の経験の記憶というのは国民の間にも深く根付いているだろう。太平洋戦争の時に、日本国民の多くが神風を期待していたように。
ウクライナのインフラを破壊し、国民が冬の寒さに耐えられなくなってネをあげるのをロシアは期待しているのだ。
また、ウクライナの国土の泥濘がロシアの戦車の進軍を阻んできたが、冬季になって国土が凍結すれば戦車にとって有利に働くという計算もある。
もちろん、ロシアの行為は非人道的であるのは論を俟たない。
しかし、人道的な戦争というのは過去にあっただろうか。
1945年の米国は日本に降伏を迫るため、焦土作戦を行った。空爆で日本の都市を焼き尽くし、住民を殺害するという作戦だった。
都市は焼け野原となり、数十万人の人々が殺害された。
最後に広島と長崎に原爆を投下し、日本は降伏した。
この非人道的な行為を誰か非難しただろうか? 当時は誰も非難しなかった。
それどころか、被害にあった日本は空爆した米国の指揮官に勲章まで授与している。
戦争というのは、かくも非人道的なものなのだ。
人を殺してはいけないという大原則さえも、戦争になれば敵は殺してもいい、否やむしろ殺さねばならないとなる。
こうなると、人間の倫理観のタガが外れてしまう。
だから絶対に戦争してはいけないし、国の指導者は戦争を回避するためにあらゆる努力をせねばならない。
ロシアの暴走を止めるためには、ウクライナとロシアの間で早期の停戦交渉を進めるしかない。
数か月前にこういう事を主張すると叩かれた。
しかし今は、西欧各国の首脳の中からもこうした声があがっている。
一つには「支援疲れ」という現象が起きている。自国の物価高騰でそれどころじゃないというのが本音だ。ロシアへの経済制裁の影響が、国民の生活にジワリと響いてきていることもある。
プーチン大統領の失脚を期待する声もあるが、仮にそうなるとしてもロシアがウクライナから全面撤退することはないだろうと見ている。
戦況が有利なうちに、ウクライナはロシアとの停戦交渉を早めた方がいい。今なら仲介の労をとってくれる国や指導者が出てくる筈だ。

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