経済・政治・国際

2022/01/18

「巧言令色」のオンパレード

「巧言(こうげん)令色(れいしょく)鮮(すく)なし仁(じん)」は「論語」に出てくる有名な言葉だ。意味は「口先だけうまく、顔つきだけよくする者には、真の仁者はいない」。
いささか旧聞に属するが、昨年行われた自民党総裁選、TV中継で各候補者の討論を聞いたが、「巧言令色」のオンパレードだった。
いわく「温もりのある国」「美しい国」「国民に寄り添う」「全世代の安心感」、抽象的で歯の浮くような言葉が並んだ。
選ばれた総裁は首相になるのが決まりなので、公約したことは実現することが可能なのだ。
勝った岸田は「聞く力」をキャッチフレーズにして、「車座」のパフォーマンスを披露したが、実際は「聞き捨てる力」だった。
「令和の所得倍増」の公約は、首相就任後はあっさりと「所得を引き上げる」に変更してしまった。
「新しい資本主義」にしても、来年度の予算案や政策に具体化しているとは思えない。
首相の言葉がこんなに軽くていいもんだろうか。実行する気がないなら最初から言わなきゃいいのに。方針を変更するなら、その理由を説明すべきだ。
「拉致問題の解決」というフレーズも、先の総裁選でも全員が訴えていた。胸には揃いのブルーリボンを付けていたし、新しい首相が誕生するたびに家族会の人たちと一緒に決意を語る姿は恒例になっている。しかし、この十数年間は1㎜も動いていないのが実情だ。実際に何もしてないのか、それとも具体的な努力をしているが(北朝鮮との窓口とは交渉しているらしいのだが)障害があって進んでいなのかの説明すらない。何に行き詰っているのか、それをどう打開しようとしているのかも不明である。家族会の方々が落胆し、不満を述べるのはもっともだ。
やる気がない、又は無理だと最初から分かっているなら、口先だけの決意表明などしなければいいのだ。
やはり「巧言令色鮮なし仁」である。

| | コメント (0)

2022/01/14

日本大空襲は米空軍独立のための「人見御供」だった

鈴木冬悠人「日本大空襲『実行犯』の告白」(新潮新書‐2021年8月20日初版)は、米軍に残された膨大な資料と、将校264名・300時間に及ぶ証言によって、なぜ46万人もの民間人が空襲によって殺されたのか、その真実を明らかにしたものだ。本書は2017年にNHKで放送の番組「なぜ日本は焼き尽くされたのか」の取材情報を基に、大幅に加筆されたもの。
ライト兄弟がは初めて空を飛んだ時、これを兵器として使えないかと考えた人がいる。米国「空軍の父」と呼ばれるアーノルド(太平洋戦争時の空軍司令官)だ。第一次世界大戦では、陣地を奪い合う塹壕作戦で、双方に膨大な犠牲者を出してしまった。しかし航空機を使えば、容易に敵陣に深く入り込むことができる。これからの戦争は航空機の時代だとアーノルドは見越した。しかし、こうした考えは軍の内部でも受け入れられず、航空機の役割は偵察だけということで、空軍は陸軍の中の一部として位置づけられたいた。第二次世界大戦開戦時には、アメリカの航空部隊は世界第6位の弱小部隊で、2位の日本に大きく離されていた。米国の両側は太平洋と大西洋という大きな海だったため、攻めるにも守るにも航空機は役に立たないとされていた。
アーノルドが目指していたのは、空軍が陸軍から独立した存在になることであり、それは又空軍関係者の悲願でもあった。

もう一人、米国空軍に大きな貢献をした人物がいた。かつてのアーノルドの上司だったミッチェルだ。彼は、航空機を使って初期に敵の中枢を叩くことができること、戦艦は航空機からの攻撃を防ぐことが出来なくなることを主張した。後者について懐疑的な声が高かったため、ミッチェルは実際の戦艦を使って航空機で沈められる実験を行い、実証してみせた。この結果は欧州や日本にいち早く伝わり重要性が認められたが、皮肉なことに米国だけはこれを無視し、海軍を侮辱した罪で軍法会議にかけられ、軍から追放されてしまう。
真珠湾攻撃に先立つ1924年に、ミッチェルは報告書の中で次の様な予言を行っていた。
「ある晴れた日曜日の7時半、日本の航空機が真珠湾の基地を攻撃する。海軍の戦艦停泊所、弾薬集積所などを爆撃し、太平洋で戦争が始まる。」
それから17年後に、ミッチェルの予言通りになった。前年に旅行者として日本を訪れたミッチェルは、日本の航空戦力を視察し、報告書を書いた。しかし米軍の中でこの報告書に目を通す者はいなかった。

米国が航空機の力に目が醒めたのは、皮肉にも日本軍の真珠湾攻撃だった。ここから航空機の増産とパイロットの育成が始まる。しかし、航空機の製造技術の遅れや未熟なパイロットのために、訓練中に4人に1人が犠牲になった。
航空部隊の使命は、敵の心臓部をピンポイントで叩くことにより、少ない犠牲で最大の成果をあげることができるという主張がようやくルーズベルト大統領にも認められ、そのための国家プロジェクトとして最新鋭の爆撃機の開発が進められた。こうして出来たのがB29爆撃機である。その開発費用は原爆の1・5倍という莫大なものだった。その期待の大きさは同時に空軍にとってプレッシャーになる。空軍は新鋭機のB29を使って、日本の軍需産業や発電所など中枢機能を破壊する精密爆撃を行うこととした。
また、ルーズベルト大統領もハーグ条約に基づき、一般市民を殺害することを禁ずるよう命令を出していた。

ところが、高度1万メートルから爆弾を落下させたが、分厚い雲と激しい偏西風に押され、目標への命中率はわずか7%で、他は無関係の一般住民の住宅にばらまかれた。レーダーの性能が悪いのが原因だった。この結果にルーズベルト大統領と軍の幹部は落胆し、アーノルド空軍司令官は追い詰められる。参謀本部からは、高度1万メートルからの精密爆撃を諦め、低空で市街地に焼夷弾をばらまく方法を求められる。
アーノルドは日本への空爆の指揮者としてルメイ少将を起用し、軍事目標に爆撃を行ったが、結果は同様だった。
そこでアーノルドがルメイに命じたのは、日本の都市に低空で侵入し、焼夷弾を落とすというもの。日本の家屋は木で出来ているので、容易に燃えるので効果的だと。
1945年3月9日の夕方、1機あたり1600トンの焼夷弾を積んだB29、329機が東京に向け出撃、一夜にして130万人が家を失い、12万人が死亡した。その後の10日間で名古屋、大阪、神戸など大都市への空爆で、192万発の焼夷弾を落とし、1万人の命を奪う。
太平洋戦争の帰趨は既に日本の敗戦は決定的になっていて、後は日本の都市を焼き払い、国民の戦争への意欲を失わせることだと米国は考えた。
その後、空爆は中小都市にも及び、その数は2000回に及ぶ。
さらに毒ガス攻撃も計画されていたが、それは実行されなかったが、広島・長崎への原爆投下で犠牲者は合計46万人に達した。その殆どは非戦闘員の民間人だった。
そして、日本は降伏した。
空軍はその圧倒的な力を見せつけた。

終戦から2年後に、空軍は念願の独立を果たした。
日本空襲を指揮したルメイは、その功績を認められ、空軍参謀総長というトップの座を射止めた。
1965年に日本はこのルメイに、勲一等旭日大綬章を授章した。
日本と、それを許した日本人はバカである。

| | コメント (0)

2021/10/21

「改革」は何をもたらしたか

今回の衆院選で、「改革」を声高に叫んでいる政党があるが、「改革」は自民党政権でも既に推し進められてきた。例えば医療分野では、出費のかさむ保健所と感染症病棟が「改革」され、1990年代に比べ、保健所の数はほぼ半減し、感染症病棟数は5分の1以下になった。その結果、医療先進国である日本で、新型コロナに感染しても入院ができず、「自宅放置」されて亡くなる人を出してしまった。特に「改革」を標榜する政党の影響力の強い地域で、命の選別が行われていたのは記憶に新しい。
かつては国際的モデルと賞賛されてきた日本型雇用も「改革」され、低賃金の非正規雇用が増加し、今や勤労者の4割を占める。
「政治改革」の名のもとに、税金を政党に配る「政党交付金」制度という悪法をお手盛りで作ってしまった。「小選挙区制」により、都内では国会議員の選挙区が区議会議員より狭いという現象が起きている。
議員定数を削減するという「改革」案もあるようだが、それだと国民の声が議会に反映する機会が減るという副作用が起きる。それなら「政党交付金」の廃止の方が、国民への副作用がなく効果的だ。
社会には、守るべきものと「改革」すべきものがあるし、「改革」も何をどう変えてゆくかという中身が問われる。

| | コメント (2)

2021/10/18

共産党は人が好すぎる?

共同通信社は16、17両日、衆院選に対する有権者の関心や政党支持傾向を探る全国電話世論調査(第1回トレンド調査)を実施した。比例代表の投票先は自民党29.6%が最も多く、2位の立憲民主党9.7%、共産党4.8%、公明党4.7%、日本維新の会3.9%、国民民主党0.7%、れいわ新選組0.5%、社民党0.5%などとなった。
「まだ決めていない」は39.4%だった。
岸田政権が安倍、菅両政権の路線を継承するべきか聞くと「継承するべきだ」は26.7%で、「転換するべきだ」が68.9%に達した。
政党の支持率では自民党が圧倒しているが、その一方で安倍、菅両政権の路線を転換すべきという声が7割近い。
今回、立憲民主、共産、れいわ、社民の4党と、市民連合とが選挙協力で合意しているが、支持率で比較すると自民・公明には及ばない。問題は「まだ決めていない」39.4%の人たちの支持を獲得できるかにかかっている。
だからこそ、自公両党は選挙戦で立民・共産の選挙協力を叩くことに躍起となっている。

さて、立民と共産との選挙協力だが、合意では連合(連立)政権が実現しても、共産党は閣外協力にとどめるとしている。要は、政権ができても共産党は仲間に入れてやらないぞ、という分けだ。閣外協力というのは分かりにくいかも知れないが、イメージとしては今の自民党と維新の会の関係が近いだろう。幹部同士が親しい関係にあり、重要な法案の採決で殆んどが両党は足並みを揃えている。
処が、立民の支持母体である「連合」の芳野会長は、その閣外協力も認めないと拒否の姿勢だ。立民は「連合」の意思には逆らえないから、最終的には共産党は完全に外されることになろう。国民民主党が共産党を排除するのも、同じ理由だ。
過去の立民と共産との選挙協力でも、立民の候補には共産が全面的に支持するが、共産の候補には立民の支持は部分的にとどまっている。
協力、共闘は、本来は対等平等が原則だが、立民・共産との関係は極めて片務的であり、不公平なものだ。
共産党は人が好すぎると思うのだが、どうだろうか。

| | コメント (0)

2021/10/16

政治の劣化を招いた「政党交付金」

政党を運営する費用は、どう賄うべきか。
①党員の党費
②政党が行う事業収入
③支持者からの献金
政党は国民生活と結びながら資金を集める。日本の各政党も、「政党交付金(助成金)」制度が出来る1994年以前は、そうした活動により収入を得てきた。
「政党交付金」が導入されて、どういう弊害が起きたか。
①交付金目当ての政党が乱立するようになり、小党が生まれては消え、その資金も行方不明となっているケースが多い。政党のビジネス化である。
②交付金の使い道について使途の制限がないことから、資金の流れが見えにくくなってしまった。
③余った交付金は原則、国庫に返納されるべきだが、基金として積み立てることが認めらているため、実際は取り放しになっている。例えば2019年に各党が翌年に繰り越した金額は236億円以上であり、本来は国庫に返納すべきものだ。
④交付金が政党本部から政党支部へ、政党から政党幹部個人へ支出されている。中日新聞が政治資金報告書を元に、自民・国民民主・維新の会・れいわの5党が、2019年に政党幹部らに総額約22億円を支出したと報じたのは、その一例だ。
⑤交付金は、本来は政党の政策作りのための費用に充てられるべきだが、実際は多くが選挙費用に回されている。そのため、権力闘争に使われている実態がある。
国費に依存する政党の体質を改めさせ、政党の自律と自由を守るためにも、百害あって一利なしの「政党交付金」制度は直ちに廃止すべきだ。
私的な存在である政党に、公金を支出すべき理由はない。
強制的に徴収した税金を各政党にばらまく制度は、憲法の「思想・信条の自由」に反する。私は自分が支持しない政党に1円でも払いたくない。
維新の会が、口を開けば「身を切る改革」を叫んでいるが、それなら先ず「政党交付金」の廃止を主張すべきだろう。それなくして、何が「身を切る」だろうか。
(月刊誌「選択」10月号の記事を参考にした)

| | コメント (0)

2021/10/08

「アベノ皮」が剥がれる日

共同通信社が10月4,5日に行った世論調査によれば、直前に行われた総裁選ショーのお陰で、自民党の支持率が50.8%と高かった。一方、安倍・菅両政権の路線に対して、転換すべきが69.7%と、継承すべきの24.1%を大きく上回った。岸田内閣への指示率が55.7%と、発足時としては低めだったのも、安倍の影響力が強いと見られたのかも知れない。とにかく、安倍政治から変わって欲しいという国民の声が7割近いという事実に着目すべきだろう。安倍が、過去に2度も政権を投げ出しておきながら、依然としてキングメーカー気取りで政治を支配しようとしている姿は異常である。自分に都合の悪い事は全て隠蔽し、国会ではウソの答弁を繰り返す姿は、政治家として失格だ。
では、岸田新政権は数に押されて安倍の言うままに動くのかというと、そう単純ではないだろう。安倍が属する細田派と異なり、岸田が率いる宏池会はリベラル色が濃く、政策が異なる。岸田は総裁選に勝つために安倍の政策を飲むような軌道修正を行ったが、自分が首相になれば独自のカラーを出してくるようになるだろう。そうせずに、安倍、あるいは3A(安倍、麻生、甘利)の傀儡政権になるようなら、菅政権と同様に短命に終わると思う。
そろそろ、「アベノ皮」を剥がさねばなるまい。
それには、野党勢力の伸長も欠かせない。
新型コロナの感染により、私たちを取り巻く社会や生活の在り方は一変した。恐らくは、完全に元通りの生活に戻ることは期待できまい。withコロナの時代に向かって政治はどうあるべきか、来たる衆院選で答えが問われる。

| | コメント (0)

2021/09/19

「能ある『高』派 爪を隠す」

「東洋経済ONLINE」4月15日付に、次の様な書かれている。
私は、ここのところの高市氏に対するネット民たちの熱狂ぶりに、ただならぬ空気を感じてきました。
ヤフーニュースのコメント欄は、彼女を「救世主」とばかりに崇め奉るコメントであふれかえり、ネットユーザーに聞いた「次の総裁は誰がふさわしいか」というアンケートでは、高市氏がトップに立っています。

「日刊ゲンダイDEGITAL」9月18日付には、次の様な記事がある。
英タイムズが高市氏を特集した記事のタイトルは「右翼の強硬派が日本初の女性首相になりたがっている」。「かつてヘビメタバンドのドラマーだった」と経歴を詳しく紹介し、高市氏がヒトラーの選挙戦略に賛意を示したり、ナチズムを信奉する極右団体の男性と写真を撮ったりした過去を書き連ねている。

「ナチズムを信奉する極右団体の男性と写真を撮った」というのは、2011年に、ナチス・ドイツを信奉するネオナチ系の日本の市民団体「国家社会主義日本労働者党」の代表である山田一成と高市が、日本国旗の前でツーショット写真を撮影していたことが、海外のマスメディアで報道された件だ。
この件について高市は、記者会見で「所属団体や思想信条がわかっていたら、会わなかった」と主張した。しかし、面識のない一般の人が国会議員といきなり面会することは不可能だろう。紹介者、あるいは秘書の取次がなければ会えない。面会者の素性を全く知らかったとは思えないし、「類は友を呼ぶ」だったと推測する。
「ヒトラーの選挙戦略に賛意を示した」というのは、高市が1994年の書籍『ヒトラー選挙戦略』に推薦文を寄せていたという件だ。高市は、同書への推薦人として「著者の指導通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」と書いていたとされる。本書はその後発禁となり、高市の事務所は「推薦文については記憶が無く、コメントできない。本人も著者を知らない」と回答した。
それ以外にも高市は、2013年に東日本大震災の影響で停止していた原子力発電所について、再び稼働させるべきと主張し、「福島第一原子力発電所事故で死亡者が出ている状況ではない。」などと述べた。この発言について与野党から批判の声があがり、高市は「福島の皆さんが辛い思いをされ、怒りを持ったとしたら、申し訳ないことだった。お詫び申し上げる」と謝罪し、「私が申し上げたエネルギー政策の全ての部分を撤回する」と述べた。
歯切れのいいトークと笑顔で、高市は熱狂的な支持を集めているようだが、「能ある鷹は爪を隠す」の理(ことわり)あり。

| | コメント (0)

2021/09/16

八代英輝弁護士の悪質さ

以下は、「Jcastニュース」2021年9月16日付の記事より引用。
大手食品メーカーのキユーピーが、スポンサーを務めるTBS系の情報番組「ひるおび!」のCM放送を見合わせた。2021年9月14・15日の放送への対応で、キユーピー広報によれば、今後についても検討中だという。
番組をめぐっては、コメンテーターをしている八代英輝弁護士が13日の放送で共産党への発言を謝罪したばかりだった。
八代弁護士は、衆院選での野党共闘を特集した9月10日の放送で、「共産党はまだ『暴力的な革命』っていうものを、党の要綱として廃止してませんから。よくそういうところと組もうって話になるな、というのは僕には個人的には感じますね」とコメントした。
これに対し、共産党の志位和夫委員長はツイッターで同日、「共産党は暴力的な革命を廃止していない」といった虚偽の発言があったとして、同党がTBSに抗議し、謝罪と訂正を求めたと明かした。スポーツ紙などの報道によると、TBS側も、「共産党の綱領には記載がなく、発言は誤りでした」と取材にコメントしたとし、13日の放送で対応するとも説明した。
この件について、13日の放送では、番組アナが「日本共産党の綱領にこのようなことは書かれてありませんでした。訂正してお詫びいたします」と八代弁護士の発言について謝罪した。
続いて、八代弁護士が発言し、政府が20年6月に共産党は暴力革命の方針と認識しており破防法に基づく調査対象だとする答弁書を閣議決定したことを元に、「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」と釈明した。
そのうえで、「一方でですね、日本共産党はそれを度々否定していることも併せて申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。続けて、「テレビで発言する者として、今後はより正確にバランスに配慮し言葉に責任を持っていきたいと思います」と改めて頭を下げた。
この放送後、志位委員長はツイッターで、八代弁護士の発言について、「虚偽発言への撤回・謝罪になっていない」と批判し、党からもTBSに改めて謝罪と訂正を求めたと報告した。
(中略)
キユーピーの広報部は15日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。
「いろんなご意見をいただいており、社内で検討した結果、14日のCMは見合わせました。代わりにACのCMが流れています」
15日のCMも提供しなかったことを明らかにしたが、見合わせた理由については答えられないとした。「今後については、どうするか検討中です。広告代理店を通じて進めていきます」と話している。

八代弁護士の発言のポイントは、共産党が暴力革命を党の綱領としている、という点だ。これは明らかに虚偽である。ひるおびの番組アナが「日本共産党の綱領にこのようなことは書かれてありませんでした。訂正してお詫びいたします」と謝罪したのは当然のことだ。これに対して八代は、「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした」と釈明している。しかし、閣議決定では「政府が20年6月に共産党は暴力革命の方針と認識しており」としているが、暴力革命を党の綱領としているとは書いてない。従って八代の発言は弁明にもなっていない。さらに、「日本共産党はそれを度々否定していることも併せて申し上げるべきでした」「今後はより正確にバランスに配慮し言葉に責任を持っていきたいと思います」としているが、これでは虚偽を認めたことにはならない。謝罪より、むしろ開き直りに聴こえる。
国際弁護士の八代英輝が、共産党の綱領を知らずにこうした発言をしたとは思えない。この放送前に、立憲民主党と共産党などが市民連合と政策協定を結んでいて、それを牽制するために承知の上で虚偽の発言をしたものと推察する。内容はともかく、「共産党は怖いというイメージ」をTVを通じて流せればいいわけで、彼の目的は十分に達成したことになる。
八代の今回の発言は、言論テロともいうべき悪質なものだ。

| | コメント (0)

2021/09/06

「コロナ対策国会」を開け

7月16日、野党4党は憲法53条に基づく臨時国会召集要求を提出したが未だに自民党は開催に応じようとしない。この間、東京オリパラの開催中でありず、国会議員たちもヒマだったろうに、与党は国会を避けていた。9月に入ると自民党の総裁選があり、このままでは3ヶ月近く政治空白が続くことになる。コロナ感染対策は行政にとって重要課題であるのは勿論のこと、立法府においても重要課題だ。
日本国憲法では、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と規定されている。内閣が召集を決定しなければ憲法違反となる。その言い訳として、政府は期限が明示されていないことを挙げているが、条文の精神からすれば速やかに開催すると解釈するのが妥当だろう。その代わりとして閉会中審査が行われたが、決議できないのだから国会の役割は何も果たしていない。
2017年に安倍内閣が臨時国会を先延ばしにし、国会開催と同時に解散した前例がある。これに倣って今回も自民党としては、新総裁の選出ー首班指名ー国会解散・総選挙、というスケジュールを考えているだろうが、これでは自民党による政治ショーの直後に総選挙が行われることになり、フェアーではないし、国会がその役割を果たさぬまま終わってしまう。
特に安倍政権から以降、憲法に立脚した政治=立憲制を否定する動きが目につくが、これでは「自由民主党」の名が泣く。

月刊誌「選択」9月号の巻頭インタビューで、塩崎恭久元官房長官が質問に答えている。
①「大規模感染症流行時の国家ガバナンス改革」を提言し、自民党内では通ったが、政府には無視された。
②政府が「原則自宅療養」という方針を打ち出したのに、自民党内で反対の声をあげたのは自分だけだった。
③感染症について、政治も行政も学会も、有事への準備を疎かにしてきた。
④新型コロナに関する論文が数が少ないを見ても、日本の劣化は明らかだ。
⑤PCR検査について、「いつでも、どこでも、何度でも、無料」が世界の趨勢になっているのに、日本では未だに実現していない。
⑥原因は、政治が科学を大事にしないことが一因だ。専門家の意見を聞いても、オリンピック開催の様に「結論ありき」で進めている。
⑦宿泊療養か野戦病院という最低ラインを死守しないと、国民の命は守れない。
⑧政治の失敗をこれ以上繰り返せば、日本はボロボロになる。
こういう人が総裁になって欲しいと思ったら、今期で政界を引退してしまうんだね。

| | コメント (0)

2021/09/04

「過信」と「楽観」が命取りとなった菅首相の退陣

先月行われた横浜市長選で当選確実となった山中竹春氏の陣営の開票センターで、山中氏を支援した横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長(ハマのドン)は「菅も今日あたりやめるんじゃないの? やめないとしょうがないだろう」と話した。その予言は当たった。
菅義偉首相は8月3日の党臨時役員会で、総裁選に立候補しないことを表明した。新型コロナウイルス対応への世論の不満などから内閣支持率が下落する中、党内で「菅離れ」の動きが広がり、総裁再選は困難と判断した。安倍晋三前首相の辞任を受け、昨年9月16日に発足した菅政権はわずか1年余りで幕を閉じる。菅は役員会で、不出馬の理由について「新型コロナの対応に専念したい」と説明し、予定していた内閣改造・党役員人事は撤回する方針を示した。これで安倍ー菅と、政権投げ出しが二代続いたことになる。「新型コロナの対応に専念したい」からと政権を投げ出すのも変な理屈だ。首相の時にできなかったことが、一議員になってから出来る筈がない。
理由は、政策や政治姿勢が国民の支持を得られなかったことと、自民党内からも「菅おろし」の声が拡がったことだ。そのきっかけとなったのが、先の横浜市長選だ。菅はかねてから「影の市長」と呼ばれ、横浜市には圧倒的な影響力を持っていた。今回の市長選では、大臣を辞して立候補した小此木八郎を支援し、自民党役員会では小此木への全党支援を要請し、自ら後援者に電話や手紙を。選挙戦では官房副長官や首相秘書官を地元に張り付けて万全の体制をとった。楽勝の筈だったのが、フタを開ければ午後8時に相手候補に当確が出る完敗だ。小此木が菅に電話したが出ず、ショートメールで「ありがとうございました」と送ると、「ご苦労様」と返信があったと言う。
敗戦の原因が菅にあったのは明らかだ。市民が菅に「NO!」を突き付けたのだ。ここで一気に菅再選の潮目が変わった。
しかし、菅は自分の置かれている立場に気が付かない。8月25日の記者会見では、コロナ感染について「明かりがはっきりと見え始めている」と発言し、国民感情を逆なでする結果となった。ここで党内の不満が爆発した。「総裁選」という名の「菅おろし」が始まる。執行部としては何とか無投票での総裁選を狙い、衆院選を先に実施する案も検討したが、党内からの反発が大きく断念し、結局総裁選を実施することになった。菅は「総裁選も二人より三人でやった方が良い。無投票はあまり良くない」などと自信のほどを語っていたと言う。周囲が全く見えなかったのだ。気が付けば「裸の王様」となり、退陣するより他はなかった。
コロナ感染拡大の真っ最中に「GOTO」キャンペーンを行ったり、五輪開催は感染に影響しないと断言したりと、菅の姿勢は常に「楽観」と「過信」に溢れていた。それが今回の結果を招いた。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧