“におい”の感じ方には、大きな個人差があります。私の場合、ややにおいに敏感(過敏)らしくて、人工的なにおいを放つものは概して苦手です。もちろん悪臭は誰でも嫌うのでしょうが、芳香剤がダメです。飲食店のトイレなどで、強い芳香剤が使われている場合が多いのですが、気分が悪くなる時があります。あと“消臭剤”もダメ。あの製品は、“におい発生剤”と名前を変えて欲しいと思います。
それと、強い“香水”のにおいが大の苦手です。正確には、フレグランス(芳香性化粧品)といい、アルコールの純度、香料の濃度、持続時間などから、香水、オー・デ・パルファム、オー・デ・トワレ、オー・デ・コロンの4種に分けられのだそうですが、面倒なので、ひっくるめて“香水”としておきましょう。
どの位苦手かと言うと、電車の座席で、隣に強い香水の人が座ると、席を立ちます。時々中年のご婦人グループが、香水のにおいを撒き散らしながら乗車してくるときは、隣の車両に移ります。
それが出来ないときがあります。芝居が好きで、歌舞伎やオペラ、ミュージカルを観に行くと、どういうわけかそうした場所に、香水愛好家が多いのです。寄席なんかには、そういう人はいませんね。もしかすると、ちょっとおしゃれをしたいということで、特別にふり掛けて来るのかも知れません。でも指定席では、逃げ場が無い、これが困る。
それと酒場で、隣に来たホステスが、香水を使っているケースが多いのですが、これも逃げ場が無い。においが強いので、席を外せと言えば済むのでしょうが、フェミニストで女性が大好きな私には、言えない。
お前の特異体質だ、趣味の問題だと言われかねないのですが、それは違います。
ここに、厚生労働省が作成した、『芳香・消臭・脱臭・防臭剤安全確保マニュアル作成の手引き』という資料があります。
この中には、“皮膚感作性、光毒性、光アレルギー性、神経毒性等が懸念される香料素材についてはその使用の禁止または制限を提案している。(中略)神経機能障害性や内分泌かく乱作用についてはまだ十分研究されておらず、今後の研究課題となっている。”と書かれていますよ。
まだあります。“(香水などの)成分が顔面などの皮膚について吸着濃縮され、(中略)皮膚表面に吸着・蓄積されたり、呼吸器系を通じて吸入された結果、アレルギー性接触皮膚炎、喘息などのアレルギー症状を引き起す原因となる。”とも書かれています。
皆さん、香水の恐ろしさを、認識して貰えましたでしょうか。
では、ためしてガッテン。
“香水”被害に悩む方に、朗報があります。
カナダのノバスコシア州の州都・ハリファックスでは、町ぐるみで香水の追放運動をすすめています。この街では、病院、学校、役所、会社、交通機関などの公共施設で、香水など匂いの出るもの身に付けるのを、使用禁止にしています。
何をそこまでと、思われる向きもあるでしょうが、『Multiple Chemical Sensitivity=略称MCS 多種類化学物質過敏症』という病気を持つ人にとっては、香水は毒物なので、こうした規制を行っているのです。
アメリカでも、同様の規制を求める運動が起きてますから、“何でもアメリカン”の我が国にも、そのうち波及するかも知れません。
香水の歴史は、良く知られているように、フランスを中心とするヨーロッパで発達しました。これは、19世紀まで、入浴の習慣が無かったため、強い体臭を消すためと、肌の衛生を保つために使用されていました。
風呂好きで、清潔好きな日本人には、もともと必要無いものです。
法律で規制などと、野暮は言いませんので、他人に迷惑が掛からない程度に、ご使用のほどを。
なお香水には、官能を高めるという作用があるそうですが、当方は不調法なもので、そこら辺りは皆目見当がつきません。この点ご経験のある方に、是非体験に基づくコメントをお願いします。
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