「世界遺産」観光目的なら意味はない
7月27日に「佐渡金山」が世界遺産に登録された。
江戸時代に金山の採掘から精錬まで手工業で行っていた遺構が残るのは、世界に例がないと言われる。
その文化遺産としての価値は高いと言える。
同時に明治以降の遺構は除外することが求められた。
この登録については、韓国から戦前に朝鮮労働者が金山で働かされたという指摘があったが、世界遺産の対象は江戸時代でありピントが外れている気がする。
世界遺産に登録に地元は歓迎の声が高いようだが、文化的な遺産を地元で守っていこうというより、観光に利するのを期待している向きが多いと思われる。
現在、我が国の世界遺産は26ケ所になるが、日本人でも全部を憶えている人は少ないだろう。
このうち、私が訪問したことがある世界遺産は10ケ所だけ。これとても世界遺産を目的にしたものでなく、最初から行きたいと思っていた場所ばかりだ。
なかには名前をきいても思い出せないような世界遺産もあるし、観光客が当初から激減し閑古鳥が鳴いているケースもあるようだ。
私も世界各地で廃坑になっている世界遺産をいくつか見てきたが、大きな洞穴と作業を再現している人形が置かれているだけで、文化的な価値を別にすれば観光としても魅力はない。
それと、世界遺産をありがたがるのはもうやめた方がいい。
ドイツのドレスデンの街では、傍のエルベ河に生活のための橋を架けるために世界遺産を返上した。
それでも、第二次大戦で瓦礫の山と化した建物を、その瓦礫を拾い集めて建て直し、戦前と同じ街を再現した努力に感動する観光客が大勢押し寄せていた。
世界遺産を観光目的にするのは的外れだ。
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