新型コロナ感染者の急拡大が続くなかで、コロナ患者を受け入れている医療機関の医師たちはどう感じているか。
【東京医科歯科大学付属病院病院長補佐の植木穣医師】
「日曜、月曜日は感染者数が少ない傾向にありましたが、25日と26日は曜日として最多でした。連休中で検査数が少ないにもかかわらず、大きな数字が出てしまったので、連休が明けて、検査数が増えれば数字がさらに上がることが想像できました。ただ、火曜日(27日)に3000人近くまで上る増加速度には驚きました。4連休で人流が減らなかった影響は、来週(8月2日)以降に跳ね返ってくるかと思います」
中等症から重症の患者を受け入れる同病院では、27日夜の時点で、重症8床のうち4床、中等症25床のうち21床が埋まっている状態だという。
「7月中旬から常に中等症患者が20人以上います。日によっては、4人が入院して4人が退院していくという、入れ替わりの激しい状況が続いています。重症病床は残り4床ですが、日によっては4人以上の重症化リスクのある患者の受け入れ依頼があり、受け入れを断念せざるを得ない状況にすでに直面しています。もう現場はひっ迫してきています」
「現状では通常診療に影響は出ていない」と言うが、第3波のときのように重症者が増えて集中治療室を増床しなければならない状況になるのであれば、「通常診療の一部を制限して対応を強化する必要に迫られる可能性がある」と危惧している。
【埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科の岡秀昭医師】
「当病院では、先週までに入院した12人のうち10人がデルタ株でした。現在、21人が入院しており、先週末から調べればデルタ株しか出ません。置き換わったと判断し、調べる手間を省くことにしたほどです。アルファ株は置き換わるのに1カ月かかりましたが、デルタ株は2週間ほどでした」
「重症者の病床がここ数日で埋まってしまいました。『重症』の前段階である『中等症2』の患者が40、50代に増えています。『中等症2』は酸素吸入が必要で、数日のうちに『重症』になってしまうような予断を許さない状態です。政治家は『重症者は増えていない』から大丈夫だろうと解釈をされているようですが、感染者の母数は増えているのだから、これから重症者も増えていくことが容易に想像できます」
「40、50代のワクチン接種はまだ中途半端。それに、この年代にも高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持つ人は少なくありません。第3波のときには、80代、90代の方が重症化してトリアージの話が出ましたが、40、50代の患者へ延命治療の意思確認をするのは愚問ですよ。これからは、重症化してもろなし、入院すらできずに在宅待機のまま亡くなるケースが40代、50代に出てくる可能性もあると思います」
「埼玉県に限らず、首都圏への緊急事態宣言は後手になってしまった。これまでにも波を経験し、疫学の専門家が予測を出して警告しているのもかかわらず、感染状況が悪化してから対策を強化するのでは遅い。選手は悪くありませんが、東京五輪のお祭りムードにより、感染状況の危機感が消し去られてしまうのは困ります」
(以上、AERA dot.)
上記の様に、第5波では40、50代の患者が増えていて、この年代は働き盛りの人なので、入院させてからトリアージ(患者の重症度に基づいて、医療・治療の優先度を決定して選別を行うこと)を行うことが困難になる。そうすると医療機関としては、患者の受け入れそのものを躊躇せざるを得なくなる。
また、コロナ患者を優先するために、他の診療に影響が出る。その結果、他の病気に罹った人で助かる命が救えないことも起きる。
政府も自治体も、こうした切実な声に耳を傾けるべきだ。
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