寄席・落語

2018/02/17

恵比寿まめかな寄席(2018/2/16夜)

「恵比寿まめかな寄席・夜の部」
日時:2018年2月16日(金)18時30分
会場:恵比寿・エコー劇場
<  番組  >
瀧川鯉八『おちよさん』
桃月庵白酒『新版三十石』
母心『漫才』
林家彦いち『掛声指南』
~仲入り~
おぼん・こぼん『漫才』
鏡味味千代『太神楽』
立川談春『かぼちゃ屋』

劇団テアトルエコーのホームグランドであるエコー劇場で行なわれた恵比寿まめかな寄席、その夜の部に出向く。
主催は「オフィスまめかな」で、当代三遊亭円楽のマネージャー植野佳奈によって設立とある。事務所名は円楽の大師匠にあたる6代目三遊亭圓生の義太夫時代の芸名「豊竹豆仮名太夫」と自らの名前をかけたもの。
HPの公演案内を見ると、圓楽の公演を中心に色々な落語会を企画しているようだ。
この会は昼夜公演で、その夜の部へ。

鯉八『おちよさん』
女が自殺しようとしているのを流しの板前が助けるという噺から、これが「人生いろいろ」の前説になっているという筋。
この人の高座は今回で3度目だと思うが、とにかくつまらない。笑ってる客もいたから、面白いと思う人もいるんだろうけどね。

白酒『新版三十石』
この日一番受けていた。
白酒は、浅い出番では寄席でもこのネタを掛ける事が多い。

母心『漫才』
以前に見た時はボケ役の嶋川武秀(妻が植野佳奈)がカツラをかぶって女装していたが、今はスで演じていた。
歌舞伎に凝っているというボケ役が歌舞伎のセリフ回しや所作を見せるのが特長。テンポも良く期待の若手漫才だ。

彦いち『掛声指南』
日本でボクシングのセコンド修業をしているタイ人が、他の仕事で覚えた掛声がセコンドにも活かされたという筋。
マクラもネタも直近の高座と同じだったが、この人は古典の方が魅力があると思うのだが。

おぼん・こぼん『漫才』
何年ぶりか分からないくらい久々だ。
コンビ結成53年目という大ベテランだが、若い。この日は得意のタップの披露はなかったが、しゃべくり漫才を面白く聴かせてくれた。

談春『かぼちゃ屋』
こういう比較的小さな会に出るのは珍しいのではなかろうか。
マクラで先代圓楽のエピソードをタップリ語っていたのは、この会の主催者を意識したものか。
先代圓楽が熊本での落語会に出演のため飛行機で向かったが、途中で熊本空港が天候不良のため急遽福岡空港に降りることになった。熊本での仕事が間に合わないと周囲のスタッフが青くなっていると、やおら圓楽は「スチュワーデスさん、パラシュートはないか?」と訊いたと言う。
落語の良い所は、周囲が与太郎をそのまま受け容れている点だといって、与太郎が主人公の本題へ。
いつもの様に流れる様なしゃべりで、与太郎とそのおじさん、カボチャを全部売りさばいてくれた長屋の親切な兄ぃ、それぞれの人物を鮮やかに演じていた。

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2018/02/10

池袋演芸場2月上席・昼(2018/2/9)

池袋演芸場2月上席昼の部・9日目

前座・春風亭与いち『たらちね』
<  番組  >
春風亭朝之助『だくだく』
春風亭三朝『短命』
伊藤夢葉『奇術』
橘家蔵之助『相撲風景』
桂文雀『死ぬなら今』
青空一風・千風『漫才』
春風亭一之輔『普段の袴』
柳家さん生『お見立て』
鏡味仙三郎社中『太神楽』
柳家さん喬『棒鱈』
-お仲入りー
春風亭柳朝『武助馬』
柳家権太楼『宗論』
林家正楽『紙切り』
春風亭一朝『天災』

池袋演芸場2月上席昼の部は落語協会の芝居で、師匠の一朝と門下の一番弟子から三番弟子までが顔を揃えた。これに権太楼とさん喬がスケという豪華版。
3連休を控えた平日の昼だったが、会場は満席だった。

与いち『たらちね』
一之輔の2番弟子で、前座になったばかり。近ごろの入門者は達者なのが多いが、これが上手くなるかどうかはまた別もの。

朝之助『だくだく』
所作の一つ一つが丁寧でキレイに見える。泥棒の手つきが宜しい。

三朝『短命』
このネタ、以前に聴いた時よりスッキリと演じていた。
一朝門下は人材が揃ってる。

蔵之助『相撲風景』
古典落語が続くので、ここは息抜きの高座。
蔵之助が落語と大相撲には共通点があると言っていたが、それは階級制だけではない。もっと基本的なことで、両方ともに「古典芸能」だ。
今どき、選手は全員がチョンマゲを結って、審判である行司は神主みたいな恰好で競技を行う。その行司たちも選手たちと同じ部屋に所属している。そんなものが純粋なスポーツであるわけがない。あれは半分がショーなのだ。
それを国技だの神事だの公益だのと言うからおかしくなる。
先日のTVで貴乃花親方のインタビューが放映されていたが、まるで喋りが新興宗教の教祖だね。どこまでが事実か分からないし、相撲協会や評議会なんてぇものはみんな嘘っぱちだらけだ。
だから、まともに相手にせず放っておくのが一番だ。

文雀『死ぬなら今』
ご存知、8代目正蔵の得意ネタ。
オリジナルでは父親の棺桶に息子がニセ小判を入れておいたので、父親は知らずに地獄で閻魔大王以下に小判を渡し、彼らが通貨偽造の罪で牢屋に入れられるという筋だ。
文雀は少し変えていて、小判は本物なので閻魔大王以下の地獄の幹部たちが収賄で極楽の特捜部に捕まり牢屋に入るというもの。
いずれも、だから「死ぬなら今」というサゲになる。
『地獄八景』のクスグリをとりいれて面白く聴かせていた。

一風・千風『漫才』
牛や豚の部位のネタだけでは苦しいかな。

一之輔『普段の袴』
手慣れたネタとはいえ、相変わらず上手いもんだ。

さん生『お見立て』
手持ちのCDで、権太楼がマクラでかつて池袋演芸場で客が一人の時があり、高座に上がった紙切りの先代正楽が苦労していたというエピソードを喋っていた。
さん生も今日の入りを見て、一昔前とは隔世の感があると言っていた。
このネタ、だいぶ端折っていたがそれでもこの時間で演じるのは無理があった。熱演だったのに、勿体なかった。

さん喬『棒鱈』
師匠譲りの高座で、江戸っ子と薩摩の田舎侍との対比が面白く描かれていた。
余談だが、アタシの子どもの頃に母親が、薩摩の男は男色が多いから気をつけると言っていた。どうも昔から、江戸っ子と薩長は相性が悪いらしい。

柳朝『武助馬』
歌舞伎役者の娘さんである師匠のお上さんのエピソードをマクラに、ネタへ。
羽織の脱ぎ方一つ見ても、動きがキレイだ。
語りにもう少し抑揚が欲しい所だが、どうだろうか。

権太楼『宗論』
咳き込んだりして体調が悪そうだったが、それでも客席を沸かせていたのは、さすが。途中から童謡に変わる讃美歌を気持ち良さそうに歌っていた。

正楽『紙切り』
お題は「パンダ」「雛あられ」「美女楽団」。美女楽団では、端に将軍様の顔が。

一朝『天災』
主人公の八五郎はやたら乱暴者の江戸っ子だが、どこか愛嬌があって憎めない人物だ。こういう人間を描かせたら、一朝は当代一だろう。
心学の先生にすっかり感化されて、長屋で騒動を起こした男の所でトンチンカンな説教をする所が実に可笑しい。
充実の番組を締めくくるに相応しいトリの高座だった。

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2018/02/07

人形町らくだ亭(2018/2/5)

第76回「人形町らくだ亭」
日時:2018年2月5日(月)18:50
会場:日本橋公会堂
<  番組  >
前座・橘家かな文『やかん』
桂宮治『つる』
柳家さん喬『初天神』
~仲入り~
古今亭菊之丞『景清』
古今亭志ん輔『お見立て』

落語家の高座と客の関係は一期一会、同じ噺家の同じネタでも時間と空間が変われば中身も変わってくる。
前に聴いた時は良かったのにという場合もあれば、今日は違うなと唸らせられることもある。
とりわけ「過去最高の出来」に出会えた時の感激は一入だ。それを求めてせっせと寄席や落語会に通い続ける。

宮治『つる』
安物の天ぷらを食い過ぎたような胃のもたれを感じる高座、苦手だね。

さん喬『初天神』
父親から初天神に連れていかぬと言われた息子が、向かいの職人の所に行って家庭の秘密をばらそうとする。慌てた父親が息子を連れて行くことにするという設定、必要なのかな。
こういう余計な改変は、時に噺の風味を壊しかねない。
縁日に着いてからの父子の描写は微笑ましい。

菊之丞『景清』
器用な人で何を演じてもそこそこのレベルだが、心を打たれることが無いというのが今までの菊之丞評だった。
しかし、この日は違った。
同じ盲人でも『心眼』の梅喜とは異なり、『景清』の定は元は腕のいい木彫師だが、酒と女に溺れた挙げ句に中年から目が不自由になった男。
歩くにも杖を肩に担いで鼻歌を唄う。
目が開くようにと願掛けした寺では、お題目をあげながら隣で拝んでいた女性にちょっかいを掛ける始末。
その反面、何とか木彫りを試みるが盲目の悲しさ、鑿で手が傷だらけになってしまう。
もう一度木彫りの仕事に戻りたいし、息子の身を案じる母親への孝行の為にも目を治したい。その一念で、定は石田の旦那の勧めもあって上野の清水の観音様に百日の願掛けをする。
しかし満願の日を迎えても目が開かない。定は怒りにまかせて観音様に悪態をつく。母親がこの日のために繕ってくれた縞模様の着物の柄が見えないと慨嘆するのだ。
この後の不忍池付近で落雷にあい、定の目が開いて歓喜する。
伝法な男でありながら、仕事への一途な思いや息子を思う母親への優しさといった定の姿を、菊之丞は明解に描いていた。
気持ちの入った良い高座だった。

志ん輔『お見立て』
このネタは志ん朝の高座が絶品で、恐らくこれを超えるのは難しいだろう。
弟子の志ん輔としては、一方では師匠を見倣いながら、もう一方では師匠とは違った演じ方を模索しているのだろう。
志ん朝の高座では、「お見立て」「見立てる」という言葉をマクラで解説しているが、志ん輔の高座ではネタの中の喜助のセリフに含めていた。
志ん朝のでは、喜助が吉原の若い衆「妓夫(ぎゅう)」の中でも貸し座敷の2階専門で通称を「なかどん」と呼ばれ、花魁と客の間を取り持つ役割だったと、これもマクラで説明している。だから喜助は花魁と客の間の板挟みで苦労するのだ。
こうした背景は少し解説しておいた方が親切だろう。
志ん朝では、喜瀬川花魁が杢兵衛大尽を嫌う理由を喜助に並べるのだが、志ん輔はここはあっさりと演じていた。
花魁が入院だというと見舞いに行くと言い出す杢兵衛を止めるのに、志ん朝は「吉原の法」で禁じられているとしているが、志ん輔は病気が伝染するからとしていた。
志ん輔の高座では杢兵衛が一層戯画化されていて、リアクションがオーバーに表現されていた。これが高座のメリハリにつながっていた様に思える。
喜助と杢兵衛二人が谷中で墓参りする場面は良く出来ており、師匠の高座に迫るものだった。

仲入り後の2席は結構でした。

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2018/02/03

国立演芸場2月上席(2018/2/2)

国立演芸場2月上席・2日目

前座・春雨や晴太『つる』
<  番組  >
三遊亭遊里『饅頭こわい』
ナイツ『漫才』
三遊亭遊馬『佐野山』
山上兄弟『奇術』
柳家蝠丸『昭和任侠伝』
~仲入り~
三遊亭遊喜『熊の皮』
桂小文治『長屋の花見』
鏡味味千代『太神楽曲芸』
三遊亭小遊三『蒟蒻問答』

東京に二度目の雪をもたらした2月2日、朝方晴れる予報だったが昼過ぎまで雪はちらついていた。もっとも霙まじりだったせいか、地表の積雪はなかった。
国立の2月上席は芸協の芝居。
悪天候の平日にかかわらず、客の入りは良かった。

ナイツ『漫才』
先日見たばかりで、ネタもかぶっていた。
最後にBeatlesの”Hello, Goodbye”をツッコミ役が歌い、ボケ役が合の手を入れるというギャグは大して面白くなかった。

遊馬『佐野山』
芸協期待の若手真打の一人、重低音の声質は落語家より歌手に向いていると思われるほど。
落協では歌奴が十八番としていて頻繁に高座に掛けているが、あちらの演じ方はカラッとした滑稽噺仕立て。対する遊馬はオリジナルの講談『谷風の人情相撲』に近い人情噺風に仕立てていて、対照的な演じ方だ。
内容に説得力があるのは、芸の確かさだろう。

山上兄弟『奇術』
あの小さな坊やたちもすっかり青年に成長。昨年からは芸協の高座にも上がっている。
カードマジックからイリュージョンまで、多彩な奇術で楽しまてくれた。

蝠丸『昭和任侠伝』
今日は古典ばかり続くのでと断って新作落語を。
上方の桂音也が創作したもので、1970年代に人気があった東映の高倉健、鶴田浩二、藤純子らが主演した任侠映画のパロディ。
任侠映画の主人公に憧れて真似をしようとするが、次々と失敗する男の話。
上方では2代目桂春蝶が得意ネタとしていたが、蝠丸とは同じ痩せ型という共通点がある。
もっとも蝠丸は、山田洋次監督の御指名で「栄養失調の男」役で映画出演したことがあるそうだから、正札付きである。

遊喜『熊の皮』
明るく陽気な高座スタイル。
気弱でお人好しの甚兵衛さんの造形が良かった。

小文治『長屋の花見』
昨日思ったのだが、風貌が先代にちょっと似てる気がする。
季節を先取りしたネタだったが、本格古典の味わい、結構でした。

小遊三『蒟蒻問答』
小遊三が入門した頃までの噺家というのは末っ子が多かったそうだ。親の跡取りの必要性がなく、親の方でもあまり期待しなかったからだ。
小遊三も落語家になると言ったら、家族の団欒の中に入りづらくて、家を出たとのこと。
それが今では、長男なぞが平気で入門してくる。それだけ時代が変わったと。
相撲協会も落語の協会も、一門の連合体という共通点があるという。だから役員とても協会全体の事より、自分たちの一門のことを優先する。
芸協副会長がそう言うんだから間違いないだろう。
以上が相撲協会理事選の結果についての感想だった。
ネタの演じ方は、マクラを含めて志ん生流で、小遊三の明るい芸風とよく合ったいた。

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2018/01/31

八代目正蔵三十七回忌追善落語会(2018/1/29)

「八代目正蔵三十七回忌追善落語会」
日時:2018年1月29日(月)18:45
会場:日本橋社会教育会館ホール
<  番組  >
春風亭正朝「蔵前駕籠」
桂藤兵衛「竹の水仙」
~仲入り~
八光亭春輔「一眼国」
春風亭一朝「明烏」

1月29日は8代目林家正蔵(彦六)の37回目の祥月命日にあたる。一朝はこの日、正蔵の墓参りを済ませてから会場入りしたとのこと。
4人の出演者のうち、春輔と藤兵衛は正蔵の直弟子だが、一朝と正朝は先代柳朝の弟子だから孫弟子ということになる。
林家の亭号を名乗る人のいない一門会だ。

正朝「蔵前駕籠」
持ち時間が25分ということで、マクラ以外にもネタに入ってからいくつかのエピソードを織り込みながらの高座だったが、ダレ気味だった。
このネタはマクラを入れても15分程度のもので、無駄に時間を延ばすと流れに水をさす。
こうした落語会の出演者には持ち時間が与えられている様だが、客が欲しいのは時間ではなく中身だ。
この日の公演時間は約2時間40分だったが、もっと短縮して良かったのではなかろうか。
主催者に一考を望みたい。

藤兵衛「竹の水仙」
5代目小さんの十八番で、現役の人も小さんの型で演じるケースが多いが、藤兵衛の「竹の水仙」はいくつか違いがあった。
宿の主人が元は奉公人で、8年前に婿に入ったという設定だ。主になってからの
営業成績が悪いらしく、女房から叱られてばかりいる。この事を泊り客(左甚五郎)が再三揶揄する。ちょいと嫌味な甚五郎だ。
細川の殿様が買い上げた竹の水仙の値は500両。それまで甚五郎にボロ呼ばわりしていた主に対し、女房がノミで刺されるかも知れないと脅す。主の腰ひもの先に長い紐を結わえて、亭主が危なくなったら拍手し、それを合図に紐を引くという約束にする。
主から500両を受け取った甚五郎は、怒るどころか500両をそっくり主に渡す。喜んだ主は思わず手を打ってしまったので、女房が紐を引いて主は階段を転げ落ちるで、サゲ。
藤兵衛の堅実な語りが、可笑しさの中にこんも噺に風格を与えていた。

春輔「一眼国」
マクラで正蔵と夫人のマキさんとも馴れ初めが紹介された。マキさんの母親というのが厳しい人で、二ツ目分際に嫁にはやれぬ、真打になったら結婚を許すという。それで一念発起して、三遊亭圓楽で真打昇進して目出度くマキさんを娶った。「でも、それほどの女じゃなかったよ」と正蔵は言っていたそうだが、これはきっと照れだったんだろうと、
さて本題にはいると、マクラの向こう両国の見世物小屋風景からネタに。
噺のリズム、声の強弱から息遣いまで、正蔵を彷彿とさせる高座だった。
改めて思ったのは、この噺は正蔵独特の唄い調子がピタリと嵌る。これを忠実に再現できるのは春輔だけかも知れない。
サービスで、これも正蔵が得意としていた「ステテコ踊り」を披露したが、これがまた実に結構。

一朝「明烏」
一朝には珍しく雑な印象の高座だった。
セリフを飛ばしたり言い間違えたりとミスが目立ち、この日ばかりはあまり「一朝懸命」とは行かなかったようだ。

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2018/01/27

新宿末廣亭1月下席・昼(2018/1/26)

新宿末廣亭1月下席昼の部・6日目

前座・三遊亭馬ん長『雑排』
<  番組  >
三遊亭遊かり『寄合酒』
チャーリーカンパニー『コント』
春風亭小柳『新聞記事』
三遊亭遊雀『動物園』
桧山うめ吉『俗曲』
三遊亭圓馬『高砂や』
三遊亭遊之介『河豚鍋』
ぴろき『ウクレレ漫談』
桂歌春『桃太郎』
立川談之助『?』
ナイツ『漫才』
神田松鯉『荒木又右衛門』
~仲入り~
三遊亭遊喜『宗論』
東京太・ゆめ子『漫才』
三遊亭遊吉『芋俵』
立川談幸『短命(長命)』
翁家喜楽・喜乃『太神楽曲芸』
三遊亭遊三『火焔太鼓』

プログラムにこんな数字が載っていたので紹介する。
60年前と現在との、落協と芸協の寄席芸人合計数の比較だ。立川流や圓楽一門はこの中に含まれていないので、東京全体では落語家だけでも550人近くになるだろう。

        落語  色物  お囃子
1958年    107   67   14
2018年    446  130  24

60年間を比較すると落語家は4倍以上に増えていて、色物は約2倍、お囃子は10名しか増えていない。落語家の人数増加が目立つ。
一方、寄席の件数は60年前と比べれば半数以下になっているだろうから、寄席に出られる確率は大幅に下がっている。
反面、定席以外の様々な落語会や地域寄席は現在の方が活発になっているが、今ある4軒の寄席がこれからも増える見通しはなく、寄席文化の未来は決して明るくない。

末廣亭の1月下席は芸協の芝居で、金曜日の昼にも拘わらず場内は一杯の入り。

遊かり『寄合酒』
前座当時以来で久々。ヅカみたいな短髪姿で、気風の良い喋りだ。サラの役割を果たしていた。

チャーリーカンパニー『コント』
議事堂の警備員と、バカにつける薬を議員に渡そうとする労務者風のオヤジという組み合わせのコント。「コント・レオナルド」を思い出す様な昔懐かしのスタイル。

小柳『新聞記事』
初見。テンポ良く。

遊雀『動物園』
前座ネタが続く。この人が演じるライオンは愛嬌がある。

うめ吉『俗曲』
地毛で日本髪を結っている寄席芸人は、今ではこの人だけだろう。寄席の音曲師としては声が細いのが欠点だが、年齢を感じさせない可憐さは大したものだ。
踊りも結構。

圓馬『高砂や』
この日最も上手さを感じさせたのはこの人の高座。先代の様な華やかさはないが、着実に進歩している。

遊之介『河豚鍋』
もうちょっと二人で鍋をつつく場面での風情が欲しい。時間の関係からか急ぎすぎの感。

ぴろき『ウクレレ漫談』
この日も、明るく陽気に行きましょう、で笑いを振りまいていた。

歌春『桃太郎』
ネタは3分ぐらいで、ほとんどはマクラで沸かしていた。

談之助『?』
立川流からのゲスト出演。
談志のエピソードを中心としたマクラから、TV番組のヒーローを早変わり(と言っても衣装を段々に脱いでゆくのだが)を演じて見せる珍芸。
落語というより色物に近い。

ナイツ『漫才』
最も拍手が多かったのは人気者の証明。
ボケ役の「沖縄のおみくじは『凶』ばかり、なぜならこれ以上『吉(基地)』は要らない」で客席から拍手。もっとも「これ、ねずっちのネタ」と言って、ツッコミ役から「他人のネタをやるな」と言われていた。

松鯉『荒木又右衛門』
講釈師はいま47人で、ここ数年変わっていないとか、一人入門すると一人亡くなるから。今度新人が入ってきたら、自分が死ぬ番だと言っていたが、どうして矍鑠としてますよ。

遊喜『宗論』
初見。滑舌の悪さが気になった。

京太・ゆめ子『漫才』
ボケ役の京太が本物の呆け風を演じ、それを相方がフォローするという典型的な夫婦漫才のスタイル。可笑しいというより微笑ましい高座。

遊吉『芋俵』
テンポ良く。

談幸『短命(長命)』
このネタを10分強で演じるには無理があるのでは。
端折り過ぎてこのネタの面白味が薄れてしまった。

喜楽・喜乃『太神楽曲芸』
珍しい父娘コンビの太神楽。

遊三『火焔太鼓』
本年80歳ながら、ますます元気。いかにも江戸っ子の威勢のいい高座で、志ん生流の『火焔太鼓』で楽しませてくれた。

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2018/01/24

「三田落語会」休会に思う

「三田落語会」のHPで、同会が休会するとの告知が掲載されている。
全文は以下の通り。

■ 三田落語会 休会のお知らせ■
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、三田落語会は2009年2月よりビクター落語会の後を受けて、
「本格・本寸法の落語を楽しく演じて、楽しく聴く」をコンセプトに開催されて
参りましたが、この度諸般の事情により2018年2月24日開催を持ちまして
しばらくの間休会させていただく運びとなりました。
当会をご支援ご愛顧いただきましたお客様、またご出演いただきました落語家の皆様、
そして関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
尚、お客様への感謝の気持ちを込めまして、
2018年6月9日(土)に浜離宮朝日ホールにて「感謝祭」を行う予定です。
皆様お誘い合わせの上、ご来場いただきたく存じます。
今後の三田落語会につきましては、当会ホームページにてご案内する予定です。
今迄本当にありがとうございました。
公益財団法人仏教伝道協会

休会前の最後の会が第54回だが、毎年偶数月に開催しているので9年間続いたことになる。昼夜公演なので公演回数は108回になる。
積み上げた回数もさることながら中身が充実していて、数ある落語会の中でも屈指の存在だった。
本格、本寸法の古典落語を二人が2席ずつ、それも夫々が30分以上かけて演じるという、古典を愛する人間には垂涎の的であった。
出演者も自然と力が入るし、客層も良く、とにかく毎回いい雰囲気だった。
私もざっと半分ぐらいの参加だったと思うが、この会だけはガッカリさせられた事がなかった。
だから、休会はとても寂しいし、ファンの一人としては早期に再開して欲しい。

昨年もいくつかの落語会が終了してしまった。
私たちはただ参加するだけだから気楽なものだが、主催者は大変な苦労があるのだろう。
三田落語会を例にとれば、昼の部の開演は13時30分だが、スタッフの方々は午前9時に集まり会場の準備にかかっていたようだ、むろん、ボランティアだろう。
夜の部が終われば後片づけや原状復帰の作業が持っている。
これは当日の作業だけのことで、日程調整や出演交渉、人気者ともなれば1年先や場合によっては2年先までのスケジュールが埋まっているそうだから、調整は大変だ。
日程と演者が決まれば、今度は宣伝用のポスターやチラシの制作と配布体制を作らねばならない。
それでも三田落語会の場合はまだ会場が決まっているから楽だが、他の会では会場確保がひと仕事だ。
新聞社や出版社などメディアや、催し物専門に企画運営する企業が主催する会ならともかく、個人や少数の愛好家が主催する会の苦労は並大抵ではなかろう。
そう考えると気楽に「再開して」なんて言えないが、それでも「三田落語会」だけは心から再開を強く待ち望んでいる。

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2018/01/22

花形演芸会(2018/1/21)

第464回『花形演芸会」
日時:2018年1月21日(日)13時
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・柳亭市若『出来心』
柳亭市弥『湯屋番』
台所おさん『猫と金魚』
シルヴプレ『パントマイム劇場』       
桂吉坊『高津の富』
      ―仲入り―
ゲスト・柳家花緑『時そば』
宮田陽・昇『漫才』
瀧川鯉橋『井戸の茶碗』

電車に乗ってると色んな会話に出会う。
「ねえ、次はナイコウチョウだって」。はてそんな名前の駅あったかな?と駅名を見てみたら「内幸町(うちさいわいちょう)」。
「この電車、変な駅があるな、ザッショクだってよ」。違いますよ、「雑色(ぞうしき)」ですよ。
そこいくと地下鉄有楽町線はいい。「桜田門」(警視庁)の次が「永田町」(最高裁)と、順にいってる。
その最高裁の直ぐ隣にある国立演芸場へは、今年初だ。

市弥『湯屋番』
久々だったが、あまり変わらない。
セコウケしようとせず、もっと真っ直ぐに演じたらどうか。

おさん『猫と金魚』
変な名前だと思ったら、先代小さんの発案だったようだ。昔、台所で働く女中を「おさんどん」(アタシも憶えている)と言っていたところから名付けたようだが、今まで誰も名乗らなかった。そこを敢えて名乗ったのだから、人物も変わっているんだろう。
芸風も変わってる。表現の仕方が難しいが、どこまで本気でどこまでが惚けているのか分からない。
2代目権太楼の作で、亡くなった円蔵が十八番としていたネタだが、おさんの惚けた味と程よくマッチしていた。

シルヴプレ『パントマイム劇場』       
初見、柴崎岳史と堀江のぞみという男女のデュオ。
どこかの宗教団体のような二人とも白装束。柴崎の方はちょっとアブナイ中年風、堀江は清楚な感じだ。
二人のパントマイムは、コミカルというより詩的で洒落ている。
後半はスタンドマイクを使って「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」のパロディを演じていた。
演芸会には異色の芸だが、客席の反応もよく、初舞台としては成功したのでは。

吉坊『高津の富』
東京では『宿屋の富』、富籤の神社も湯島天神だったり、椙森稲荷だったりと演者によって異なる。
『高津の富』の見せ所は3ヶ所。
・貧しい泊り客が鳥取の大金持ちだと大ぼらを吹き、なけなしの1分で富籤を買わされる場面
・高津の富籤の会場で、二番富の五百両を当たると信じ込んだ男の妄想話で、周囲が振り回される場面
・富籤を買わされた男が、会場で千両が当たり歓喜する場面
吉坊の高座は、それぞれの場面を丁寧に演じていて好演だったが、全体にメリハリというかインパクトに欠けている様に感じた。
上方なら枝雀、東京なら談志、の様なアクの強さがこのネタには必要なのかも知れない。

ゲストの花緑はいいでしょう。

陽・昇『漫才』
東京の現役の中ではこの二人が一番面白いと思っている。
ネタをちゃんと仕込んでおり、計算された芸だ。
ボケ役の顔がいかにも漫才師らしいのと、ツッコミ役の訥々とした受けの組合せが良い。
審査員の方、金賞をあげて。

鯉橋『井戸の茶碗』
古典をきっちりと演じる芸協期待の若手。
千代田卜斎が若く見えてしまうのと、細かな言い間違いはあったが、清兵衛や作左衛門の人物は良く描かれていたし、何より奇を衒わない真っ直ぐな高座は好感が持てる。

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2018/01/20

鈴本正月二之席・夜(2018/1/19)

鈴本演芸場正月二之席夜の部・9日目

前座・春風亭朝七『桃太郎』
<   番組  >
古今亭駒次『ガールトーク』
ダーク広和『奇術』
古今亭菊之丞『たらちね』
三遊亭白鳥『ナースコール』
ホームラン『漫才』
柳家さん助『もぐら泥』
桃月庵白酒『粗忽長屋』
─仲入り─
ぺぺ桜井『ギター漫談』
五街道雲助『新三十石』
ストレート松浦『ジャグリング』
柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』

色々あって、19日が今年の初席となってしまった。最近では最も遅い聴き初めである。
喬太郎がトリということで、昼の部(こちらもトリガ一之輔とあって大勢入っていたようだ)がはねる頃には長い行列ができていた。大半はトリ目当てだと思うが、近くの席の人は早くから並んでいたのに、トリが上がる直前に出て行ってしまった。色んな人がいる。
感想をいくつか。

朝七『桃太郎』、なんだか老成した感じの前座だった。

駒次『ガールトーク』
マクラで師匠の話題が出たが、亡くなった事には触れなかった。こういう目出度い席では訃報は避けるものらしい。
ネタは、噂話というのはその場にいない人の悪口になるというストーリー。
古今亭志ん駒は、1月18日に死去した。81歳だった。
明るい元気の良い高座で楽しませてくれた。志ん生最後の弟子で、高座でも度々師匠のエピソードを披露していた。
駒次は今秋真打に昇進予定で、晴れの高座に同席できなかったことは心残りだったろうと推察する。
ご冥福を祈る。

ダーク広和『奇術』
TVに呼ばれないとこぼしていたが、もっと観客にアッピールする様な演出を考えたらどうだろうか。地味すぎて、せっかくの技能が伝わらないのだ。

菊之丞『たらちね』
ちょっと一息、という高座。

白鳥『ナースコール』
毎度お馴染みの新作で、入院中の爺さんが看護婦の体を触りたくて、やたらナースコールを押すと言う噺。他愛ないが、よく受けていた。

ホームラン『漫才』
この日はいつもに比べパワー不足。

さん助『もぐら泥』
上方では『おごろもち盗人』というタイトルで当代の松喬らが得意としているが、東京では演じ手が少ない。さん助は二ツ目時代から度々高座にかけている。とぼけたキャラがネタに似合っている。

白酒『粗忽長屋』
この日もっとも客席の笑いを取ったのはこの人。
行き倒れを兄弟分の熊だと主張し、その熊を連れてきた男が、行き倒れの当人は自分だと言い出すという、ちょっと変わったストーリー。
主観と客観というテーマもあるし、思い込みがどんどん真実から遠ざけて行くという、このネタはけっこう教訓的な物語なんだなと改めて感じた。

雲助『新三十石』
訛りのひどい浪曲師が、入れ歯をほき出したりはめ直したりしながら『森の石松、三十石船』を唸るというものだが、ただただ抱腹絶倒。

喬太郎『ハンバーグができるまで』
池袋の街の変遷を話題にした長目のマクラからネタへ。
この噺は恐らく10回は聴いていると思うが、この日気が付いたことは「間」の取り方だ。
3年前に別れた妻がいきなり訪ねてきて、男の大好物のハンバーグを手作りしてくれるという。元妻に未練があり、独り暮らしに悶々としていた男は、もしかしてヨリが戻るんじゃないかと期待する。
処が、女性は近々再婚が決まり、その報告に来たのだと言う。
女性からすれば会って直接報告したいという気持ちだったろうが、男にとってはこれほど残酷なことはない。
もう出て行ってくれという男の言葉に女性は去ってゆき、一人残った男は黙々とハンバーグを食べる。そして生まれた初めて元妻が調理したニンジンを口に入れ、「ニンジンってけっこう甘いじゃないか」で終わる。
見所は、最後の場面で男が万感の思いを胸にハンバーグを食べるシーンで、ここで喬太郎は男の動作やセリフにかなり長い「間」を置いている。
落語の「間」というより、芝居の「間」だ。
演劇の経験のある喬太郎だからこそ、自然に演じることが出来るのだろう。
最終シーンは落語ではなく、一人芝居で演じていた様に見えたし、そこがこのネタが成功の鍵たと思う。

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2017/12/30

「My演芸大賞2017」

2017年中に聴いた演芸の中から特に優れたものを選び、次のように各賞を決定した。
なお、今年は二ツ目を対象とした「奨励賞」と、他に「特別賞」を設けた。


【大賞】
該当なし

【優秀賞】
柳家小満ん『茶碗割』6/12人形町らくだ亭
春風亭一之輔『唐茄子屋政談』6/16鈴本㋅中席
笑福亭三喬『らくだ』10/7東西笑いの喬演
柳家喬太郎『双蝶々(通し)』 同上
五街道雲助『夜鷹そば屋』10/20国立10月中席

【奨励賞】
春風亭正太郎『厩火事』4/19春に船
柳亭小痴楽『磯の鮑』5/4芸協仲夏祭花形

【特別賞】
立花家橘之助『浮世節』12/19国立12月中席


<選評>
「大賞」が該当なしとなったが、例年に比べ決してレベルが低かったわけではない。傑出した高座がなかったのだ。
「優秀賞」5点もみな優れていたが、もう一つ決定打に欠けていた。

日頃から古典を愛すると言いながら、「優秀賞」のうち2点が新作になった。
小満ん『茶碗割』は、尾崎紅葉の短編小説を落語化したもの。
小満んは飄々とした語りでこの噺の面白さを引き出していて、やはり小満んの様な力量がないと、演ずることが難しいだろう。
雲助『夜鷹そば屋』は、有崎勉(柳家金語楼)作の『ラーメン屋』を演者自身が舞台を江戸の移し一席にしたもの。
オリジナルに比べて遥かにストーリーが自然で、聴いていてジーンと来るものがあった。
今年最も活躍が目立った落語家といえば、一之輔だ。もはや若手という範疇を大きく超えている。
『唐茄子屋政談』の様な長講を、寄席のトリで30分ほどに短縮していたが、内容に過不足なくまとめた手腕には驚かされる。叔父さんが若く感じられたというキズはあったが、他は申し分ない。
他に『鼠穴』『富久』でも、この手腕がいかんなく発揮されていた。
喬太郎『双蝶々(通し)』だが、落語会では専ら後半だけが演じられるケースが大半だが、この噺は前半で長吉を非道さが描かれないと面白さが伝わらない。
1時間に及ぶ長講を、間然とすることなく客席を引き込んだ喬太郎の芸の高さを示した一席だった。
三喬『らくだ』は、松喬襲名を翌日に控えた三喬としての最後の高座だった。
師匠の十八番のネタに挑んだ高座だったが、先代松喬が社会の最下層に生きる人たちを地べたを這うような語りで活写していたのに対し、三喬の高座は全体にスマートに仕上がっていた。
反面、屑屋がらくだの兄貴分に酒を飲みながら身の上話しをする場面では、周囲でも涙を流す客も多く見られ、師匠とは異なる『らくだ』の世界を作り上げていた。

「奨励賞」の二人は、いま最も注目している二ツ目だ。
正太郎『厩火事』では、髪結いの女房の心理変化を表情で巧みに表現していた。このネタに関しては既に真打クラスの実力を備えていると言ってよい。
小痴楽『磯の鮑』では、珍しいネタだったが、花魁に色気があった。与太郎とのチグハグな掛け合いもテンポが良かった。
他に「粗忽長屋」では、この噺のシュールな味を引き出していた。

「特別賞」は、今年二代立花家橘之助を襲名した、橘之助『浮世節』。
小圓歌の『三味線漫談』からの転換は、相当な苦労があったと察せられる。
高座で披露した『たぬき』では、久々に音曲で感動した。


さて、今年は本稿をもって終了とします。
ホ年も沢山の方々に拙ブログにお立ち寄り頂き、感謝いたします。
来年は1月10日前後に再開する予定です。

では皆さま、良いお年を!

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