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2022/06/05

「風俗」が最後のセーフティーネットという現実

「デリヘル」(デリバリーヘルスの略、性風俗特殊営業の一つで、無店舗型で出張ヘルスともよばれる)の店数が、セブンイレブン店舗数を上回るときいて驚いた。働く女性の数は数十万人と見られている。
この分野は当方は素人で知らないことが多い。1998年の風営法改正によりデリヘルは合法化され、その一方で従来の店舗型風俗店に対する取り締りが厳しくなったので、届け出だけで営業できるデリヘルが急増した。
考えてみれば可笑しな話しで、接客する女性にとっても男性客にとっても、店舗型の方が管理がしっかり出来るし、より安全な気がするのだが。
新聞に、風俗は女性に対する「性的搾取」と書かれているのを見て、それはあまりに一面的だと思った。
坂爪真吾『性風俗のいびつな現場』 (ちくま新書) – 2016/1/7初版)を読んで、その感をますます深くした。タイトルとは異なり、著者がデリヘルの現場を歩き、店の経営者や従業員の声を通して実態に迫り、社会福祉との接点を見出そうとする内容になっている。
店の種類も様々で、60分1万数千円の高い店もあれば、3900円という激安店もある。派遣先の多くはホテルになるので、ホテル代は別だからそれなりの出費になる。
店は無店舗だが、女性を待機させる部屋(時には保育施設も有り)が必要で、女性を送り迎えするための車両と運転手が要るため、経営は容易ではない。
高い店はそれなりの容姿が求められるので、面接に行って採用されるのは1から2割程度。激安店になると希望者は全員採用されるが、稼ぎは本人の腕次第ということになる。
男性利用客の年齢は40台が中心で、経済的にゆとりのある人が多い。女性の年齢は18歳から70歳までと幅広い。男性の好みが幅広いからだ。
本書では特に底辺の店を中心に取材しているが、そこで働く女性の中には、精神疾患者、知的障碍者、持病を持つ人、アルコールや薬物依存症、肥満、中高年者、DV被害者といった人が殆んどで、社会福祉の対象にならないか、或いは現状の福祉制度ではカバー出来ない人が多い。
離婚その他の理由でシングルマザーになった人も多く、子どもの教育費を稼ぐためという人もいる。別に仕事をしながらという兼業の人が多数を占める。
デリヘルの存在が、彼女たちやその家族の暮しを支えているのだ。
一度この業界に入ると、なかなか抜け出せないのはそうした事情があるからだ。
この本に出てくる経営者は例外なのかも知れないが、女性たちの自立を後押しする試みにもチャレンジしている。著者と共同で、弁護士やソーシャルワーカーの協力を得て無料の相談会を開き、福祉との連携を図る試みを行っている。
著者は最後に、風俗を絶対悪として叩くのではなく、ソーシャルワークと連携して、風俗を社会問題として貧困と闘う最前線基地として位置づけることを提案している。
未知の世界だったので、とても参考になった。

2021/09/07

「色は年増にとどめさす」

「色は年増にとどめさす」、落語の中にも出てくるフレーズですね。語源はよく分かりません。長久保甚句の中に、「帯は筑前 博多に限る 色は年増に とどめさす」という歌詞がありますが、こうした俗謡の中に取り込まれていることから、以前から花街では通用していたんでしょう。ここで「色」については、女性の「色香」という説もありますが、「色事」とした方が自然です。「年増」の定義は時代によっても変わりますが、落語の中で年増は「二十七、八、三十凸凹(にじゅうしっぱちさんじゅうでこぼこ)」とされていますから、20代後半から30歳前後といった所でしょう。「色事の相手は年増に限る」という意味になるので、これは男の側から出た言葉です。
この事に関して、『東スポWeb』で医学博士の志賀貢氏が興味深い記事を書いています。アメリカの社会学者モージス博士が、男女の性に関して、数十のチェック項目を用意して、重点的に統計調査をし、アメリカ人の男女の精力に関するデータをまとめたものを紹介したものです。

縦軸に精力の強さ、横軸に年齢を指標として、統計データを並べてみると、アメリカ男性の精力は25歳頃がピークと分かる。それ以降は、山の頂上から転げ落ちるようにして、年とともに急激に精力は落ち、40代、50代になると山の裾野のように低い曲線を描いて、それ以後は精力は弱いままかろうじて持続する。
一方、女性の方は、女性の精力が上昇するのは25歳過ぎから。そして、30~33歳頃にピークを迎え、その後は男性と同じように年齢とともに減少し始める。ただし、男性のように急激な、山から転げ落ちるような減り方はせず、40代、50代、60代とわずかずつ減少して、そのまま70代、80代になっても衰えない。

上記は、アメリカ人を対象にしたデータですが、日本人も同様の傾向を示すとすれば、女性のピークは30代の前半ということになり、「色は年増にとどめさす」は、的を得たものと言えましょう。
但し、当方は色事とはとんと縁の無い人生を送ってきましたので、真偽の程は確かめておりません。

2013/10/03

男の上半身と下半身は別人格

近ごろ当ブログの記事が硬いものばかりと、お嘆きの諸兄に。
痴漢だの盗撮だのいうニュースで、犯人が高級官僚や会社経営者、大学教員など社会的地位が高い人がなぜあんなことを? といった記事にぶつかるが、あれは不思議でも何でもない。
男の上半身と下半身は別モノ、別人格なのだ。おそらく脳からの指示系統が異なるんだろう。
地位だの名誉だのいうのは専ら上半身が司るのであって、それと下半身とは無関係なのだ。
むろん上半身と下半身が一致する人も少なくないが、それは結果として一致しているので、相互作用があるわけじゃない。
「あんな人が・・・」というのは上半身のことだから、下半身で何があっても驚くことはない。

犯行理由で圧倒的に多いのが「仕事のストレス」だけど、あれは違うね。
もしストレスが原因なら、世の男性の大半が痴漢や盗撮をしている筈だ。
きっと取り調べで警察官から「何でこんな事をしたんだ」と追及されて、これといった理由が思いつかないので「ストレスがたまって、つい」なんて答えるんだろう。
「出来心で」なんてね。
痴漢ならそういうこともあるだろうが、盗撮っていうのは準備が要るんだろう。カバンだの靴だのにカメラを仕込んでおいてから犯行に及ぶんだから、「ほんの出来心」なんて言い訳は通用しない。
車内の痴漢では、統計データによれば朝が多いのだそうだ。これは朝だと急いでいるので駅員や警官に通報されにくいからだろう。
やはり、加害者は計画的なのだ。

各種統計でも、通勤や通学で痴漢の被害にあったことがある女性の割合はかなり高い。
一方、常習的に痴漢を繰り返している男の割合は、統計データが存在しない。アンケート調査でも出てこないんだろうね。
これは私の推測にすぎないのだが、おそらく2%位ではあるまいか。
つまり極く少数の常習者が、圧倒的多数の被害を与えているものと思われる。
考えられる原因はただ一つ、痴漢も盗撮も性的嗜好、性癖の問題だということだ。
痴漢であれば女性の身体に触る時、盗撮であれば密かに撮影している時とその映像を鑑賞する時に、性的興奮をおぼえるのだろう。それ以外ではきっとノーマルなのだ。
性的嗜好は人さまざまで、それがどんなに異常に見えても違法でなければ社会的問題にはならない。
しかし痴漢や盗撮などは犯罪として処罰される。
「病気」という見方もできるが、「お医者様でも草津の湯でも」の口で、そう簡単に治るとは思えない。とりわけ常習者は。
女性側の自衛手段としては、女性専用車両を利用するとか、携帯に気を取られないようにするとかしか手がなさそうだ。

柔らかい記事にしようと思ったけど、あんまり柔らかくならなかったなぁ。

2011/05/17

日本の男性は13㎝、だって

女性の読者は読まないように。
下手な落語家と一緒で、話題に詰まるとシモネタにふる。
週刊ポスト5月20日号に、スペインの治療機器メーカー「アンドロメディカル」が、世界各国のペニスの平均サイズを発表したと報じている。
なんでも各国の研究機関や医師によって調査されたデータをもとにしたものとか。
どういう研究目的なのか知らないが、世の中にゃあ奇特な人がいるものだ。
読者諸兄の参考のため(参考にならないか)、数値とランキングは下記の通り。

1位:フランス 16cm
2位:オーストラリア 15.7cm
3位:イタリア 15cm
4位:メキシコ 14.9cm
5位:ドイツ 14.48cm
6位:チリ 14cm
7位:コロンビア 13.9cm
8位:スペイン 13.58cm
9位:タイ 13.5cm
10位:日本 13cm
11位:アメリカ 12.9cm
12位:ベネズエラ 12.7cm
13位:サウジアラビア 12.4cm
13位:ブラジル 12.4cm
15位:ギリシア 12.18cm
16位:インド 10.2cm
17位:韓国 9.6cm

フランスが1位というのは、なんとなく頷ける。
サウディアラビアのデータなぞは、かなり貴重でしょうね。
日本が1㎜米国を上回っていて、久々に優越感に浸れますな。
もっとも、㎜単位の測定精度があるものかどうかは怪しいけど。
それにサンプリング方法や、測定方法の詳細も分からない。
コトがコトだけに、測定者が誰かによっても長さは変わりそうな気がする。

そこのお父さん、この数値を見て劣等感ですっかり落ち込んでおられる様子だけど、これは平時のデータじゃないんです。
数字は全て勃起時のものだそうで、どうかご安心を。

それでも信用できないと仰るなら、ちゃんとした証人がいます。
「ペニスの証人」。
・・・これが言いたくて、ここまで引っ張ってきた。

2011/05/07

団鬼六さんのこと

官能小説の第一人者で作家の団鬼六(だん・おにろく、本名・黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)氏が5月6日、食道がんのため死去した。79歳だった。
団さんとは直接の面識はないが、一方的に親しみを覚えている。

一つは、団さんの行きつけの店、歌舞伎町にあったキャバレーだったが、サラリーマンの現役時代に取引先の顧客でその店をひいきにしていた人があり、接待で時々使っていた。
生バンドが入りダンスフロアのある大きな店だったが、その中央の最前列に団鬼六さんの指定席があった。
和服姿の若い男性を連れてくることが多く、恐らくその服装と容貌から団さんの好きな将棋の棋士だったと思われる。
団さんが現れ席に座ると、たちまちホステスが周囲をぐるっと囲み、いかにも上客としての扱いを受けていたのが印象的だった。
ちょうど若い愛人に自殺され落ち込んでいると噂された時期だったが、見かけはとても元気そうだった。
もう一つは、SM雑誌の中央公論と称されていた雑誌「SMキング」の編集長だった人と一時期懇意になり、その方から団さんの逸話を色々うかがう機会があった。
一度、団さんに紹介してくれるという話もあったが、沙汰やみになってしまったのが惜しまれる。
【下のイラストは喜多玲子(美濃村晃)】

Reiko17団鬼六というと日本のSM小説の第一人者のように言われているが、決して正統派とはいえない。
女性に肉体的暴力を加えたり傷つけるような場面は殆んどなく、羞恥心をかきたてる、いわゆる「羞恥責め」が中心となっている。
被虐の対象になる女性というのは、深窓の奥様や令嬢、あるいは女侠客などに限られる。
時代物が多いのも、そのためだ。
小説のモデルにしていたのは山本富士子や富司純子といった女優たちで、団さんの妄想をかきたてるのだろう。
自らの作品を「珍小説」と呼んでいたのは、その辺りに理由があるのだと思う。

相場師や将棋の世界を描いたものを除けば、どの小説を読んでもワンパターンで、文学的に優れたものとは言い難い。
若いころに花巻京太郎という筆名で書いた「大利根柔肌草紙」という中編小説があるが、その後の団鬼六の小説の主なパターンがこの作品の中に網羅されている。
団さんといえば代表作は「花と蛇」と相場が決まっているが、やたら冗長なだけで私にはその好さが分からない。
むしろ長編では「鬼ゆり峠」を代表作に推したい。この作品の中に団鬼六のすべてが凝縮されている。
SM作家にしてフェミニストという、団さんの面目躍如である。

ピンク映画のプロダクションを設立したり、SM雑誌を発行したり、アマチュア将棋の機関誌を引き受け借金を抱えたりという、作家として破天荒な人生を送った団鬼六さん。
ご冥福をお祈りする。

2011/01/13

深刻な「日本人の性意識」

本日の各メディアがいっせいに伝えている厚生労働省の研究班(主任研究者=竹田省・順天堂大教授)の「男女の生活と意識に関する調査」結果だが、かなりショッキングだといえる。
調査は2010年9月に、16~49歳の男女3000人を対象にして行われ、うち1540人から回答があった。
調査でセックス(性交渉)への関心について尋ねたところ、セックスに関心がない・嫌悪していると回答した人は、男性18%、女性48%で、2008年の調査より男性は7ポイント、女性は11ポイント増えている。
年代別だと16~19歳で最も多く、男性36%(前回調査で18%)、女性で59%(同47%)だった。男女ともに「草食系化」が進んでいる傾向がみられ、とくに若年男性の草食系化傾向が強まっていた。
セックスに関心がない一因は、「異性と関わることが面倒だ」と感じることにあるようで、全体の4割の回答者が「面倒だ」と回答した。

アタシの永い人生経験からいうと、女のことは分からないが男に関していえば、セックスに関心がないとか嫌悪しているとか、そんな人間に出会ったことがない。
特に男の16~19歳といえば、フツーはセックスに最も関心が高く、性に対する欲望や衝動もピークの時期だ。
ただ相手に恵まれず、理性によって欲望を抑えているので、表に出ないだけだ。
その年代の男の子の3人に1人が、性に関心がないか嫌悪しているとは。
日本の将来に暗澹たる思いがしてくる。

これも経験則だが、活力のある男性というのは、ほぼ例外なく女性に対して積極的だ。
なかには何事にもいい加減だが、女性にだけ積極的な「下半身男」もいるけど。
仕事や人生に精力的な男は概して女性にも精力的であり、下品な言い方を許してもらえば「遣り手」は「やりてぇ」に通ずるのだ。
昔から「英雄色を好む」というが、その通りだと思う。
4割の人間が「異性と関わることが面倒だ」と答えたとあるが、もっと面倒なことは山ほどある。
面倒だからと避けたり嫌ったりしていたら、人生なにも出来ない。

“durex”社が定期的に行っているセックスに関する最新調査で、世界26ヵ国26000人に対する調査結果によると、セックスに満足していると答えた日本人は15%で最低だった。
アメリカ、カナダ、イギリス、ロシア、オーストラリア、そして隣国の中国などみな40%台だから、日本はおよそ3分の1ということになる。
セックスの頻度もむろん調査国中の最低だった。

性の問題だけで判断してはいけないかも知れないが、調査から浮かび上がってくるのは活力を失いつつある日本人の姿だ。
社会的制約の中で非婚少子化は進行しているとされるが、それ以前にいわば自己規制のような形で性に対する関心が薄くなっているとしたら、これは深刻な社会問題だ。

この問題解決にぜひ「一肌脱ぎたい」と思っているのは、アタシだけだろうか。

2009/12/19

とかく男というものは・・・

佐賀県で、自転車で下校してくる女子高生のスカートがめくれないかと、坂の下でジッと待っていた男が警察から警告を受けたと、地方紙が伝えている。
通学路の下り坂に車を止めていたこの男は51歳の会社員で、「スカートが風でまくれ上がるのを待っていた」と話していたという。
盗撮でもつきまといでもないので、これ自体は犯罪ではないのだが、生徒からの通報で県警の「子ども・女性安全対策班」が調査し、男を特定したとのこと。
男の性(佐賀)だね。

51にもなる男が、スカートのめくれるのをひたすら待ち続けている姿を想像すると、哀れというかイジマシイというか。
どんな心境なのか、こういう人と一度じっくり話してみたい気分になる。
捕まれば大きな代償を払うことが分かっていながら、盗撮や痴漢をやめられない男がいる。それもある程度、社会的地位のある人間がだ。

嫌われても嫌われても女性につきまとうストーカー男もいる。サッサと気持ちを切りかえて、別の人を探せばいいのにと思うのだが、そうはいかないらしい。
「エエ、まさかあの人が」というケースも多いのが、このストーカーなのだ。
以前に、社員同士で問題になったことがあり、いちど当事者と話し合いをしたことがあるが、ストーカーをしている本人に全くその自覚がないので驚いたことがある。
相手の部下の女性に対し、あんなに親切にして上げているのにどうして、というのが本人の言い分だった。
解決不能。

その昔、通っていた中学のプールの裏側が民家の庭だった。
夏場、水泳の時間が始まると、その庭を手入れに年配の男性が現れる。定年を過ぎたとおぼしきそのオジサンは、女子生徒がプールサイドで準備体操を始めると、剪定鋏を片手にチラチラとその姿を眺めるのだ。終わると、そのオジサンも家に引っ込んでしまう。
真夏のカンカン照りにもめげず、プールのある日は必ず姿を見せていた。定年退職をしたあのオジサンにとって、きっと人生の唯一の楽しみだったのだろうな。
え、そんな奴はいないだろうだって?
いましたよ、だってボクは毎回ちゃんと見てたんだから。

「年はとっても浮気はやまぬ やまぬ筈だよ先がない」

2008/09/20

【「売防法」施行50周年記念】「売春」って悪いこと?

「売春防止法」が施行されたのは1958年(昭和33年、法律の公布は1956年)で、今年はちょうど50周年にあたります。今のところ、政府主催で50周年式典を行うというような計画はありません。
処で、この法律が施行されてから今日までに売春は増えたのか減ったのか、正確な統計データが無いので、この法律は効果は良く分からないわけです。
はっきりしていることは、法律で禁止しているにも拘らず半ば公然と組織的売春は行われているし、警察当局も本気で取り締まる意志は無いということ。取り締りの対象は、専ら児童買春に重点が置かれています。第一、警察官自身が売春の客になっているのですから、成人の売買春については野放しに近い。
効果も判然とせず、違法状態が放置されているような法律、一体どういう意味があるのだろうかという、素朴な疑問が湧いてきます。

結論的にいえば「売春防止法」は、法律の中に本音と建て前が同居している、だから元々が「ザル法」なんですね。
では一体「売春防止法」とはどんな法律なのか、大事なポイントをいくつか拾って検討していきます。
なお事の性格上、性的な表現が多く含まれますが、ご容赦ください。決してワタシの好みではありませんから。

(1)「売春」の定義
【第二条 この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。】
・「性交」を辞書で見ると、“男女が性的交わりをすること。交接。交合。房事。セックス。”とあります。
・「対償」とはどういう事でしょうか。法律的には、売春をすることに対する反対給付としての「経済的利益」であり、「報酬」や「対価」と同意義です。
「対償」の具体的な内容は、
①現金
②物品
③金銭の貸付け、返済の猶予や免除
などが含まれるとされています。

(2)「性交」に限定
例えば「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」では、次のようになっています。
【第二条 2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。】
片方は成人を対象に、もう片方は児童を対象にしているとはいえ、同じ売春(買春)という行為に対して全く異なる定義を持ってきているというのは、どうも平仄が合いません。
「売防法」は性交だけを対象にしていて、その他なら何でも許されるとしてきたことが、性産業の氾濫を招いたのでしょうか。

(3)組み合わせは「男女」に限定
売春が行われる組み合わせというのは、3通りあります。
即ち、男:女、男:男、女:女です。
このうち、「児童ポルノ法」では同性同士でも対象となりますが、「売防法」では男女の組み合わせに限定されます。同じ売春行為でも、男娼(男色の)はこの法律には抵触しないことになります。

(4)相手は「不特定」
「売防法」では、相手が不特定の場合にのみ対象となります。つまり特定の相手の場合は、この法律には抵触しません。同じ行為をしても相手が特定なら対象にならない、これ自体実に変な法律です。
更に問題となるのは、相手が「特定」だが複数の時はどうなのかということです。
複数の旦那を持ったお妾さんというのは、相手が特定だから対価を受け取っても売春にならないのだろうか。常連しか相手にしない売春婦は、対象にならないのでしょうか。会員制の場合は「特定」になるのか。
どうもこの「不特定」という規定は曲者ですね。

(5)「対償」の範囲
「対償」は大半が現金です。物品の場合は稀でしょうし、貸し付けや借金の棒引きも、実態としては金銭の支払いと同じだと言えます。
しかし「対償」=「経済的利益の供与」であるとすれば、下記のケースも本来は「対償」に含まれる筈です。
①営業活動などで「契約」や「発注」を、物品などを購入を、新規顧客の紹介をしてもらう。
②事業や商売の拡大への援助をしてもらう。
③採用、昇進、配属、転職などで便宜を図ってもらう。
④水商売などで、来店の頻度を上げて(お得意さん)もらう。「指名」を約束させる。
⑤家賃や生活費、旅行費の一部又は全部を負担してもらう。
⑥TVや映画、舞台などへの出演又はディスクや書籍の発売に便宜を図ってもらう。
⑦有益な情報を提供してもらう。
などなど、利益供与という観点から見ればクロでしょう。なぜなら、いずれも最終的には金品の供与に結びつくからです。おや、貴方は今、一瞬ドキっとしましたね。
ただ法令ではどうなっているか分かりませんが、現状では「売防法」でいう「対償」には適用されないのではないかと思われます。

(6)「対償」供与の方法
大きく2つに分かれます。
①その度毎に供与する(支払う)。一番分かり易いのはキャッシュ・オン・デリバリーで、一般的にはこれが大半を占めているでしょう。
②定期又は不定期にまとめて供与する。
本当は供与(支払い)方法は問われないでしょうが、まとめて支払うというケースだと、相手は「特定」とみなされて、「売防法」の適用を免れるのではないでしょうか。
人から聞いた話ですが、こういうケースもあります。曜日限定の2号さんで、月曜日はAが旦那、火曜日はBがという風に、月~土(日曜は休みだそうです)に6人の特定の旦那が決められている。つまりシェアリングですね。今時、東京で2号さんを抱えると年間で最低でも数百万円の経費がかかるそうですから、余程の大金持ちでないと無理です。それに毎日じゃあ、旦那の身体がもたないしね。
年間契約で、謝礼は毎月支払うというシステムだそうで、これなど実態は完全な売春であるにも拘らず、「売防法」には抵触しなそうです。

(7)「売買春」は禁止
「売防法」の解説の中には、日本では売春は禁止されていないと書かれたものがありますが、それは事実ではありません。
【第三条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。】
売春も買春も法律で明確に禁止されています。これに反すれば違法行為です。
処がこの法律の不思議なことには、これに違反しても罰則が無いんです。禁止はされていても罰則が無いとなると、車内での携帯電話の使用と同じですかね。
一種の精神条項みたいなもので、罪には問わないが心に留めておけということでしょうか。

(8)処罰の対象
それでは処罰の対象となる行為ですが、下記の通り定められています。
・公衆の目に触れるような方法による売春の勧誘や誘引(5条)
・売春の周旋(6条)
・欺き、困惑、脅迫、暴力、親族関係を利用した影響力により売春をさせる行為(7条)、
・上記による対償の収受(8条)
・売春をさせる目的による前貸しなどの利益供与(9条)
・人に売春をさせることを内容とする契約をする行為(10条)
・売春を行う場所の提供(11条)
・業として売春させる、いわゆる管理売春(12条)
・売春の場所を提供や管理売春業に対し、資金や土地、建物を提供する行為(13条)
つまり売春を行っても、上記の行為に抵触しなければ罪に問われない。他人の力を借りずに、個人として行う売春は処罰の対象にならないということになります。C2Cの直接取引きならOKなんですね。

売春を「性交等の対価として経済的利益を得ること」と定義すれば、世の中は犯罪者だらけになってしまう。だから二重三重の制約を設けた上で「売春」を狭く定義付け、かつ売春それ自体は処罰の対象としない。「売防法」とはこういう法律です。
売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであるというタテマエに立ちながら、あまり厳しく取り締ると国家が個人の生活や権利を過度に制限するので、程々に、というのが「売春防止法」の精神であるように見受けます。
従って取り締りは実質的に、不法滞在の外国人に対する入管法違反、人身売買や脅迫、監禁などの売春の強制、暴力団の資金源などに関連するような場合などを対象としているのでしょう。

日本には終戦直後までは公娼制度がありましたが、1947年に「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令」が出され廃止となります。しかし「赤線」と称された地域での売春は半ば公然と続けられていました。
1958年に施行された「売防法」により「赤線」は一掃され、そこで働いていた女性は保護され、施設に収容されて更生させられました。
ある意味、この段階で法律の使命が終わったのかも知れません。

世界中、どこへ行っても売春の無い国は存在しないでしょう。俗に「飲む、打つ、買う」と言いますが、人間の「業」みたいなもので、分かっちゃいるけどやめられない。
全てを法律で禁止し、違反した人間はどんどん牢屋に放り込む、こうすればきっと清らかな社会にはなるでしょうが、それが果たして住み良い社会かどうかは大いに疑問ではあります。

2008/06/24

児童買春の「深層」

私が生まれて8才まで育ったのは東京中野の新井薬師の近くで、当時まだあの辺りには花柳界というのが存在していた。小学校1,2年で一番親しかった同級生の家に遊びに行って驚いた。お化粧をしてきれいな着物を着ている若い女がズラリと部屋に座っていたのだ。彼の家は芸者置屋をやっていたのである。ああして女性に囲まれて暮している友人の姿は、子どもの私でさえチョッピリ羨ましかったものだ。

そんな子どもの頃の情景を思い出せる文章にぶつかった。雑誌「図書」6月号の掲載されている、作家・色川大吉の「フー老のヰタ・セクスアリス」である。
時代は戦前の満州事変から日中戦争に至る間の時期。著者の祖父というのが大変な道楽者で、芸者置屋の主であり、「検番(見番)」の社長をしていた。家が近かったもので著者は学校帰りなどの、ちょくちょく置屋や検番寄っていた。私同様に、男の子にとって若い女性が沢山いる所というのは、興味津々なのだ。

置屋には芸者以外に半玉といわれる見習いの少女たちがいた。地方から売られてきた子たちである。そうした少女たちが13、14才になると「水揚げ」されてと聞いて、著者は衝撃を受ける。「水揚げ」の意味が分からず兄に訊くと、「ほら、魚屋で見たろ。生きている魚を水から揚げて、まな板の上で包丁を入れるアレさ。カヨ(少女の名前)もそうされたのさ。」と教えられる。
お座敷の出る前に、一本になるご祝儀だといって特別の水揚げ料金を取って、売春を強いたのだ。その客たちというのは、町会議員や医者だったと著者は記している。
泣く泣く「水揚げ」を強いられた少女は歩くのも困難になり、2,3日は這って便所に行っていたという。
少年だった著者はそれを聞いて、客になった男達を嫌悪し、祖父もいっぺんに嫌いになる。このことがきっかけになって、彼は祖父の家に寄り付かなくなる。

戦前に13、14才というのは数えだから、今でいえば12、13才ということになり、小学6年生から中学1年位の幼い少女たちである。こういう少女たちが「水揚げ」という名の下に客に提供され、名士や金持ちの男らが法外な金を払って買春をしていたわけだ。
この風習は恐らく、1958年に売春防止法が施行されるまで公然と続けられていたのだろう。
こうした記録を見ていくと、外国ではこの様な風習があったかどうか分からないが、少なくとも日本の男性の一部に、少女買春への根強い要求があったのは確かだ。

ネットのニュースなどで、毎日のように児童買春事件が報じられ、いい歳をした社会的地位も名誉もあるような立場の人間が捕まっている。
大きなリスクを負うことが分かっているのに、少女買春が止められないという背景は、この「強い欲求」にあるのだろう。
法律だけでは人間の欲望というのは、なかなか制御しづらい。児童買春を根絶する取り組みの難しさは、この辺りにある。

2007/12/14

こうなったら「痴漢専用車両」を

Chikan12月11日午後7時頃に28才の中日新聞東京本社(東京新聞)編集局写真部のカメラマンが、埼京線の電車内で女子高生に痴漢をはたらいたとして、東京都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕されました。
家族もいるこの男は、「『埼京線なら自由に痴漢ができる』とインターネットに書いてあったのでやった」と供述しているそうで、さすが新聞記者だけあって事前の取材十分だったのでしょうか。
最近ネット上でこうした情報交換が行われ、乗り合わせる電車を決めて「集団痴漢」するケースもあるようですから、イヤな世の中になったものです。
こうした計画的犯行に対しては、厳罰を科すべきです。

ネットのニュースサイト“ZAKZAK”は痴漢だの盗撮だのというネタが好きらしくて、連日コマメニそうした事件を拾っています。ほぼ毎日のように、ソノ手の記事が数本掲載されていますので、全国的には相当な件数になるのでしょう。
因みに警視庁が公表している「電車内における痴漢犯罪の発生件数」データでは、1999-2004の5年間で見ると、強制わいせつ、迷惑防止条例違反を合わせた合計が毎年2000件前後で推移しています。
これは表面的な数字であり、実態は相当な件数になると思われます。

「電車の痴漢犯罪対策室」というサイトでは痴漢被害の事態をまとめています。これまでに実施された各種アンケート(有効回答数が1,000人以上のもので、対象者が各世代にまたがっているもの)を分析していますので、参考になると思います。
どのくらいの女性が車内で痴漢にあっているかというと、少ないもので50%台、多いものは70%台というから驚きです。被害の多数を占めているであろう10代20代の女性に限れば、この割合はもっと高くなるでしょう。
よく女性の露出度や服装がどうのという意見を見かけますが、統計によれば被害は無差別に近いと思われます。
また被害にあったという女性のおよそ80%が、複数回被害を受けたと回答しています。
これほど被害者の割合の高い犯罪というのは、痴漢以外は無いでしょうから、相当深刻な状況であることは分かります。

では加害者側の男性の統計データですが、これは残念ながらありません。多分アンケートをとっても正確なデータは得られないでしょう。
周囲にきいても、「うん、俺は痴漢したことがある」などと告白してくれる人がいないので、推定するしかないわけですが、痴漢をはたらく男の割合は恐らくは数パーセント程度と思われます。あるいはもっと低いかも知れません。
いずれにしろ、少数の男が、多数の女性に被害を与えているという構図であることは、間違いなさそうです。

痴漢というと直ぐに女性の敵と思われるでしょうが、男性にとっても敵です。実際に多くの通勤男性は、痴漢に疑われないように苦労しています。
私の場合も、昔会社の同僚が通勤途上、痴漢と間違われてエライ目にあったと聞いてから、若い女性には近付かない、近くにいっても背を向ける、片手はカバンもう片手はつり革と、常に神経を使っていました。
ごく少数の不心得男のためにこんな苦労をしなくてはいけないと、腹立たしかった。

痴漢で捕まった男の犯行の動機は、その大半が仕事のストレスか家庭内の揉め事とされていますが、本当ですかね。どうも信用できない。
そんな理由で痴漢をするなら、日本中の男は全員痴漢になります。
私は若い女性に対する征服欲、一種のサディズムが原因ではないかと想像しています。だから犯行が病的になるんですね。繰り返すし、捕まっても懲りずに再犯に及んでしまう。
性犯罪にしては刑罰が軽くて、罰金刑で済んでしまうことも一因かも知れません。冤罪を防ぐ方策も必要でしょう。同時に性癖を直すための更生プログラムの導入も、検討に値すると思います。

それでも駄目なら、「痴漢専用車両」を導入するしか無いでしょう。その車両の中ではお互い自由に痴漢ができ、罪にも問われない。
しかしそれ以外の車両で犯行が行われたら、厳罰に処す。
そうでもしないと、女性であれ男性であれ、落ち着いて電車に乗っていられない。